信じられない。
でも、目の前の動画は悪夢でも幻でもない。
静かな部屋に、わたしの深呼吸だけが響く。
終わった……。
わたしのVtuber人生、半年で、終わった……。
こんな身バレしたら、しかもエンドさまといっしょで、こんなの、スキャンダル以外のなにものでもない。
ああ、これはもうなにもいいわけできない。
最悪の動画だ。盗撮なんて最低すぎるし、こんなのアップロードすることが、そもそもおかしい。
だけど、そのせいでわたしのVtuber人生、終わるんだ。
わたし、これからどうしたらいいの?
だめだ、Vtuberをしている以外の自分が思い浮かばない。
だって、Vtuberは、小珠はわたしのすべてなんだから!
小珠がいなくなるということは、わたしが死ぬと同じこと。
そんな生きる場所を、みすみす放棄したくない。
「冷静に、ならなきゃ」
わたしは気をひきしめて、もう一度動画を観る。
これはおそらく、廊下の死角から録画したのだろう。
幸いにも、わたしの顔ははっきりとは写っていない。桐生は横顔が見えているけど。
わたしは声を頑張って変える訓練をしているし、桐生はエンドさまと地声が少し違う。
だけど、わかる人にはわかる動画だ。
ああ、外で桐生と話すんじゃなかった……。
わたしはともかくエンドさまは熱心なファンが多い。
地元のカラオケ店にファンがいることだって考えておくべきだった。
そして、こういう熱心なファンの中には、エンドさまの素性を知っている人間もいるんだ。
「どうしよう……」
わたしは今にも泣きそうな声でそうつぶやいた。
どれだけ冷静に見ても、身バレの動画に間違いはない。
マネージャーに電話をかけ直すと、『大丈夫ですよ。あれは盗撮ですからね。すぐに削除依頼だしますから』といってくれた。
わたしを責めるどころか、やさしい口調にまた涙が出そうになる。
マネージャーだって忙しいのに、迷惑をかけてしまった……。
「はああ」とため息をつき、わたしは天を仰いだ。
それからすぐにあの動画とアカウントは削除されていた。
ホッとしたのも束の間。
さっきの動画が脳内で再生される。
すると不安が雪だるまのようにふくらんでいく。
あの動画、少しとはいえネット上にあった。
アップロードされた時間はせいぜい二時間ぐらいだとしても、エンドさまというネームバリューでアクセス数は相当なものだろう。
怖くて確認できなかったけど、かなりの再生数だったはず。
そして、その短時間であの動画を保存した人、スクショした人もいるだろう。
今回の件が炎上すれば、元の動画が消えたとしてもスクショなどが出回る。
元の動画を見た人が、わたしと桐生の正体を突き止めようとするかもしれない。
横顔が写っている桐生はもちろん、女子のほうも小珠でわたしだってバレてしまうのは時間の問題になりそう。
そんなことになればエンドさまもわたしも、活動停止……ううん、卒業。
そんな最悪なシナリオが浮かぶ。
しかも、桐生まで巻き込んで……。そんなのイヤだ!
わたしがVtuberができなくなるのと同じように、桐生がエンドさまでいられなくなるのはもっと嫌だ。
そんなのこの世の終わりと何がちがうの……?
わたしが膝を抱えてため息をついていると、スマホが振動する。
桐生から連絡が来た。通話だ。
「……もしもし」
『見たか? あの動画』
「うん。見たよ……」
『マズイことになったな。まさかあのカラオケ店におむすびがいるとは……』
桐生はそこまでいってから、黙りこんだ。
『ごめん。おれのせいだ……』
「桐生のせいじゃないって。わたしがエンドさまがいるかも、なんて思って部屋を出たから」
『星谷は悪くない。そもそも盗撮したのはおれのファンだ』
「ねえ、これ炎上しちゃうのかな……」
『するだろうな。SNSもYoutubeの動画もだいぶ再生数が多かったし』
「どうしよう……そんなことになったら、わたしも桐生もVtuber続けらなくなっちゃう……!」
わたしはそういって、泣きそうになる。
ぐっとこらえているのに、目からは涙がぽたぽたとこぼれていた。
やめたくない!
Vtuberになれたのに、まだまだこれからいっぱい活動したいのに!
ダンスだって猛特訓して……桐生とエンドさまの隣で踊るのに……。
なんでこんなことに……。
『おれにいい考えがある』
「え? なにかあるの?」
『とにかく、明日の夜に緊急で生配信する』
桐生はそういうと、『大丈夫。心配するな』とやさしくいった。
その言葉に、わたしは心から安心した。
通話の先には、エンドさまが確かに存在している。
だけど、通話を切ってから桐生の言葉をよく考えてみた。
『おれにいい考えがある』
『明日の夜に緊急で生配信する』
どういうことなの? いい考えってなに?
あのときはわたしも不安過ぎて、そこまで頭が回らなかった。
だけど、この今にも炎上しそうな事件をどうやって止めるつもり?
無茶しなきゃいいけど……。
でも、目の前の動画は悪夢でも幻でもない。
静かな部屋に、わたしの深呼吸だけが響く。
終わった……。
わたしのVtuber人生、半年で、終わった……。
こんな身バレしたら、しかもエンドさまといっしょで、こんなの、スキャンダル以外のなにものでもない。
ああ、これはもうなにもいいわけできない。
最悪の動画だ。盗撮なんて最低すぎるし、こんなのアップロードすることが、そもそもおかしい。
だけど、そのせいでわたしのVtuber人生、終わるんだ。
わたし、これからどうしたらいいの?
だめだ、Vtuberをしている以外の自分が思い浮かばない。
だって、Vtuberは、小珠はわたしのすべてなんだから!
小珠がいなくなるということは、わたしが死ぬと同じこと。
そんな生きる場所を、みすみす放棄したくない。
「冷静に、ならなきゃ」
わたしは気をひきしめて、もう一度動画を観る。
これはおそらく、廊下の死角から録画したのだろう。
幸いにも、わたしの顔ははっきりとは写っていない。桐生は横顔が見えているけど。
わたしは声を頑張って変える訓練をしているし、桐生はエンドさまと地声が少し違う。
だけど、わかる人にはわかる動画だ。
ああ、外で桐生と話すんじゃなかった……。
わたしはともかくエンドさまは熱心なファンが多い。
地元のカラオケ店にファンがいることだって考えておくべきだった。
そして、こういう熱心なファンの中には、エンドさまの素性を知っている人間もいるんだ。
「どうしよう……」
わたしは今にも泣きそうな声でそうつぶやいた。
どれだけ冷静に見ても、身バレの動画に間違いはない。
マネージャーに電話をかけ直すと、『大丈夫ですよ。あれは盗撮ですからね。すぐに削除依頼だしますから』といってくれた。
わたしを責めるどころか、やさしい口調にまた涙が出そうになる。
マネージャーだって忙しいのに、迷惑をかけてしまった……。
「はああ」とため息をつき、わたしは天を仰いだ。
それからすぐにあの動画とアカウントは削除されていた。
ホッとしたのも束の間。
さっきの動画が脳内で再生される。
すると不安が雪だるまのようにふくらんでいく。
あの動画、少しとはいえネット上にあった。
アップロードされた時間はせいぜい二時間ぐらいだとしても、エンドさまというネームバリューでアクセス数は相当なものだろう。
怖くて確認できなかったけど、かなりの再生数だったはず。
そして、その短時間であの動画を保存した人、スクショした人もいるだろう。
今回の件が炎上すれば、元の動画が消えたとしてもスクショなどが出回る。
元の動画を見た人が、わたしと桐生の正体を突き止めようとするかもしれない。
横顔が写っている桐生はもちろん、女子のほうも小珠でわたしだってバレてしまうのは時間の問題になりそう。
そんなことになればエンドさまもわたしも、活動停止……ううん、卒業。
そんな最悪なシナリオが浮かぶ。
しかも、桐生まで巻き込んで……。そんなのイヤだ!
わたしがVtuberができなくなるのと同じように、桐生がエンドさまでいられなくなるのはもっと嫌だ。
そんなのこの世の終わりと何がちがうの……?
わたしが膝を抱えてため息をついていると、スマホが振動する。
桐生から連絡が来た。通話だ。
「……もしもし」
『見たか? あの動画』
「うん。見たよ……」
『マズイことになったな。まさかあのカラオケ店におむすびがいるとは……』
桐生はそこまでいってから、黙りこんだ。
『ごめん。おれのせいだ……』
「桐生のせいじゃないって。わたしがエンドさまがいるかも、なんて思って部屋を出たから」
『星谷は悪くない。そもそも盗撮したのはおれのファンだ』
「ねえ、これ炎上しちゃうのかな……」
『するだろうな。SNSもYoutubeの動画もだいぶ再生数が多かったし』
「どうしよう……そんなことになったら、わたしも桐生もVtuber続けらなくなっちゃう……!」
わたしはそういって、泣きそうになる。
ぐっとこらえているのに、目からは涙がぽたぽたとこぼれていた。
やめたくない!
Vtuberになれたのに、まだまだこれからいっぱい活動したいのに!
ダンスだって猛特訓して……桐生とエンドさまの隣で踊るのに……。
なんでこんなことに……。
『おれにいい考えがある』
「え? なにかあるの?」
『とにかく、明日の夜に緊急で生配信する』
桐生はそういうと、『大丈夫。心配するな』とやさしくいった。
その言葉に、わたしは心から安心した。
通話の先には、エンドさまが確かに存在している。
だけど、通話を切ってから桐生の言葉をよく考えてみた。
『おれにいい考えがある』
『明日の夜に緊急で生配信する』
どういうことなの? いい考えってなに?
あのときはわたしも不安過ぎて、そこまで頭が回らなかった。
だけど、この今にも炎上しそうな事件をどうやって止めるつもり?
無茶しなきゃいいけど……。



