平日は学校生活をなんとかやり過ごし、その反動で週末はネットに入り浸る。
土日はついつい配信は長めになるし、他のVtuber仲間との交流も増えてしまう。
そんなこんなで、今日はとても眠い。
春のポカポカ日和が心地よく、こんな日は家でずっと眠っていたい。なんて小珠のようなことを考えてしまう。
そういえば、桐生のそばで眠ったっけ。
エンドさまが頭をなでてくれた夢。
やけにリアルだったなあ……あれは本当に夢だったのかな……。
そんなことを考えていた三時限目。
「星谷さーん。ボールいったよー」
その声にハッとする。
そうだ、今は体育の授業中。おまけにバスケットボール。ちなみに球技は苦手。
わたしはいつの間にかキャッチしていたボールを仲間に思い切りパス――したつもりだった。
だけどボールのコントロールが悪く。そして運悪く。
いっしょにお昼休みを過ごしている仲間の方向にボールが飛んでいく。
やばっ! これが当たったら仲間に入れてもらえないのはまあいいとして、無視され、最悪はいじめに発展する可能性が!
でも、ボールが当たりそうな女子はまったく気づいていない。
終わった。わたしの中学生活終わった。捨ててたけど、捨てるのと終わるのはちがう。
そう思って目を閉じたようとした瞬間。
奥の方から別のボールが飛んできて、女子に当りかけていたボールにぶつかる。
二つのボールは女子にぶつかる方向を逸れ、体育館の壁に当たって落ちた。
「ごめん、ごめん。方向ミスッた」
そういいながら、桐生が女子のコートに入ってくる。
地面に落ちたボールを拾い、女子たちに「えー、桐生くんってミスなんかするのー?」なんてキャイキャイいわれていた。
「おれだってミスくらいするって」
そういった桐生が、チラッとわたしのほうを見た。
一瞬だけ目が合い、わたしいはすべてを悟った。
ああ、そうか。桐生は助けてくれたんだ。わざと男子側のボールをぶつけて。
むしろ運動神経抜群な桐生にしかできない技だ。
桐生はわたしとすれちがうとき、小声でいった。
「世話のかかるやつめ」
なんだと……? 自分のことをわたしのお父さんだとでも思ってる?
でも怒る気にはなれない。
やっぱり助けてくれたんだ。
わたしは桐生の背中に、「ありがとう」といった。
「ねぇねぇ。星谷さん。前から気になってたんだけどさ」
お昼休みにそういったのは、椎名さんだ。
「えっ? なに?」
文句でもいわれるのかとビクビクしていると、椎名さんはわたしのカバンを指さす。
「あれ、なんのキーホルダー?」
椎名さんの言葉に、わたしは自分のカバンを見る。
カバンにつけているのは、金属製のチャーム。
おにぎりの形で、実は裏面には『ENDREJI』と書かれてある。
そう、実はこれはおむすびである証のチャームだ。
おむすびに出会ったらすぐにわかるように、と思っていたけど。
でも、中学には予想以上に仲間が少なかった。まだ入学したてだけど。
まさか椎名さんにこのチャームのことを聞かれるとは思わなかった。
彼女は趣味がテニス(そしてテニス部)で、今は他校の子とバンドを組んでいるらしい(椎名さんはボーカル)
なんかもう趣味が陽キャ過ぎてわけわかんない。
そんな椎名さんに、おむすびの説明をするの? Vtuberも知らなそうなのに。
適当に誤魔化すか、と思ったけどやめた。
だって椎名さんが興味津々な顔をしてるんだもん。
だからわたしは、エンドさまの説明を簡単にした。
ドン引きされたらそのときはそのとき! グループから抜ける理由にもなるし。
もし興味を示してくれたら、それはそれでラッキーだけど。さすがにそれはないか
「なにそれ面白そうー!」
椎名さんを含めグループの女子たちは、みんな食いついてきた。
マジかよ、とこちらがちょっと引きつつも試しにエンドさまの動画を見せる。
「えー、イケメーン」「しかもイケボ」「へぇ。ゲーム実況かあ。気になる」
みんなの反応がいい。そうなんだ。うれしい。
「ねぇねぇ。他にもおすすめのVtuberとかいる?」と椎名さん。
わたしは調子に乗って、今度は小珠の動画を見せる。
『冬はいやだよね。寒くてお家から一歩も出たくない。クリスマスとかバレンタインも関係ないからイベントも楽しくないし~』
小珠がいつものようにだるそうにいう。
『どうせ人間、死ぬときはひとりだからね~』
あ、まずい。動画のチョイスミス。通常よりもやる気のない小珠だ。
しん、と周囲が静まり返る。
やばい。本当にヤバい。先にダンス動画見せるべきだったああ!
そんなことを考えていると、女子たちがいっせいに吹き出す。
「なにこの子、おもしろーい」「こんなにかわいい顔と声でマイナス思考なのかわいいー」
笑いながらも椎名さんたちには大好評。意外。
わたしは、小珠のダンス動画も見せた。
すると「ダンスまじでキレッキレじゃん」とみんな感動していた様子。
「でも、ダンス中に小声で『つらい』とか『キツイ』とか聞こえる」と不思議そうにする。
そこはわたしも不思議。無意識に出ちゃうんだよ……。
お昼休みが終わるころには、椎名さん筆頭に「今日から飼い主になるね」といってくれた。
うれしすぎて涙がでそうだったけど、必死でこらえた。
土日はついつい配信は長めになるし、他のVtuber仲間との交流も増えてしまう。
そんなこんなで、今日はとても眠い。
春のポカポカ日和が心地よく、こんな日は家でずっと眠っていたい。なんて小珠のようなことを考えてしまう。
そういえば、桐生のそばで眠ったっけ。
エンドさまが頭をなでてくれた夢。
やけにリアルだったなあ……あれは本当に夢だったのかな……。
そんなことを考えていた三時限目。
「星谷さーん。ボールいったよー」
その声にハッとする。
そうだ、今は体育の授業中。おまけにバスケットボール。ちなみに球技は苦手。
わたしはいつの間にかキャッチしていたボールを仲間に思い切りパス――したつもりだった。
だけどボールのコントロールが悪く。そして運悪く。
いっしょにお昼休みを過ごしている仲間の方向にボールが飛んでいく。
やばっ! これが当たったら仲間に入れてもらえないのはまあいいとして、無視され、最悪はいじめに発展する可能性が!
でも、ボールが当たりそうな女子はまったく気づいていない。
終わった。わたしの中学生活終わった。捨ててたけど、捨てるのと終わるのはちがう。
そう思って目を閉じたようとした瞬間。
奥の方から別のボールが飛んできて、女子に当りかけていたボールにぶつかる。
二つのボールは女子にぶつかる方向を逸れ、体育館の壁に当たって落ちた。
「ごめん、ごめん。方向ミスッた」
そういいながら、桐生が女子のコートに入ってくる。
地面に落ちたボールを拾い、女子たちに「えー、桐生くんってミスなんかするのー?」なんてキャイキャイいわれていた。
「おれだってミスくらいするって」
そういった桐生が、チラッとわたしのほうを見た。
一瞬だけ目が合い、わたしいはすべてを悟った。
ああ、そうか。桐生は助けてくれたんだ。わざと男子側のボールをぶつけて。
むしろ運動神経抜群な桐生にしかできない技だ。
桐生はわたしとすれちがうとき、小声でいった。
「世話のかかるやつめ」
なんだと……? 自分のことをわたしのお父さんだとでも思ってる?
でも怒る気にはなれない。
やっぱり助けてくれたんだ。
わたしは桐生の背中に、「ありがとう」といった。
「ねぇねぇ。星谷さん。前から気になってたんだけどさ」
お昼休みにそういったのは、椎名さんだ。
「えっ? なに?」
文句でもいわれるのかとビクビクしていると、椎名さんはわたしのカバンを指さす。
「あれ、なんのキーホルダー?」
椎名さんの言葉に、わたしは自分のカバンを見る。
カバンにつけているのは、金属製のチャーム。
おにぎりの形で、実は裏面には『ENDREJI』と書かれてある。
そう、実はこれはおむすびである証のチャームだ。
おむすびに出会ったらすぐにわかるように、と思っていたけど。
でも、中学には予想以上に仲間が少なかった。まだ入学したてだけど。
まさか椎名さんにこのチャームのことを聞かれるとは思わなかった。
彼女は趣味がテニス(そしてテニス部)で、今は他校の子とバンドを組んでいるらしい(椎名さんはボーカル)
なんかもう趣味が陽キャ過ぎてわけわかんない。
そんな椎名さんに、おむすびの説明をするの? Vtuberも知らなそうなのに。
適当に誤魔化すか、と思ったけどやめた。
だって椎名さんが興味津々な顔をしてるんだもん。
だからわたしは、エンドさまの説明を簡単にした。
ドン引きされたらそのときはそのとき! グループから抜ける理由にもなるし。
もし興味を示してくれたら、それはそれでラッキーだけど。さすがにそれはないか
「なにそれ面白そうー!」
椎名さんを含めグループの女子たちは、みんな食いついてきた。
マジかよ、とこちらがちょっと引きつつも試しにエンドさまの動画を見せる。
「えー、イケメーン」「しかもイケボ」「へぇ。ゲーム実況かあ。気になる」
みんなの反応がいい。そうなんだ。うれしい。
「ねぇねぇ。他にもおすすめのVtuberとかいる?」と椎名さん。
わたしは調子に乗って、今度は小珠の動画を見せる。
『冬はいやだよね。寒くてお家から一歩も出たくない。クリスマスとかバレンタインも関係ないからイベントも楽しくないし~』
小珠がいつものようにだるそうにいう。
『どうせ人間、死ぬときはひとりだからね~』
あ、まずい。動画のチョイスミス。通常よりもやる気のない小珠だ。
しん、と周囲が静まり返る。
やばい。本当にヤバい。先にダンス動画見せるべきだったああ!
そんなことを考えていると、女子たちがいっせいに吹き出す。
「なにこの子、おもしろーい」「こんなにかわいい顔と声でマイナス思考なのかわいいー」
笑いながらも椎名さんたちには大好評。意外。
わたしは、小珠のダンス動画も見せた。
すると「ダンスまじでキレッキレじゃん」とみんな感動していた様子。
「でも、ダンス中に小声で『つらい』とか『キツイ』とか聞こえる」と不思議そうにする。
そこはわたしも不思議。無意識に出ちゃうんだよ……。
お昼休みが終わるころには、椎名さん筆頭に「今日から飼い主になるね」といってくれた。
うれしすぎて涙がでそうだったけど、必死でこらえた。



