「─オーナーの気持ちは分かりますけど、やっぱり、さっきの発言はギリハラスメントですね」
それを近くで聞いていた先輩が笑いながら、オーナーに話しかける。
「やっぱり?難しいね、今の世の中」
オーナーは難しそうな顔をして、悩む。
先輩とオーナーは付き合いが長いから、とても気さくな関係で。
「─あ、そうだ。今日、飲みに行かない?」
いろいろと雑談をする中で、先輩は気軽にオーナーを誘う。
「良いよ。あ、どうせなら、皆で飲み会する?」
「勿論」
「ハハッ、じゃあ、僕の奢りだね」
「やった♪」
嬉しそうに、先輩は他の子に伝えに行く。
その姿を見ていると、
「水瀬さんも行く?」
と、オーナーは優しく聞いてくれた。
「是非!─あと、私は両親の話を聞けて嬉しいので、気にしないでください。……もしもの時は、オーナーがプロデュースしてくれると嬉しいです。父も喜ぶと思います」
父のことを、今なおも忘れないでいてくれる。
その事が、本当に嬉しいの。
私だけじゃなくて、他の人の中にも残っている父はきっと、素敵な人だったのだ。
「うん、是非」
初恋を無くした今、5年たっても振り払えていないから、結婚なんてまだまだ先の話。
でも、いつか、父とオーナーのプロデュースでウエディングドレスを着たいと、透和はほんの小さな夢を手に入れた。


