明坂高校生徒会はこんなもんやで!

 「あー、生き返る……」
頭を冷やそうと、水をそのまま頭にかぶる。
滴る水をタオルで拭っていると、足音が近づいてきた。

(水道使う人かな?)

そう思い、端の塀に寄る。
だが――その足音は、隣で止まった。

(……なんか近くね?知り合いか?)

(宮浦)「誰かおる?」

そう声を掛けるが、反応はない。
だが、気配は一向に消えない。
頭をあらかた拭き終えた宮浦は、誰なのかだけでも確かめるために、視界の端を見る。

――女子だ。

(……誰や?)

(えっ?真辺先輩は障害物やし、つむぎは本部席におったよな……じゃあ穂乃果か?)

(宮浦)「……穂乃果ってさ」

隣の人影が少し揺らいだ。

(宮浦)「異性が頼りなるってどういう時やと思う?」

返答はない。

(え?なんで答えへんの?もしかしてマズイことでも聞いた?……いやいや、なんもおかしなこと聞いてないよな)

(宮浦)「……ごめん。答えづらかったか?」

微かにグラウンドから応援の声が聞こえてくるだけであった。

(宮浦)「答えづらかったらホンマにごめんなんやけど……」

それにも返事はない。
なんとなく気になって、タオルを首にかける。

――視界に入ってきたのは、見覚えのある髪色であった。

(……え?)

視線を、ゆっくり逆方向にずらす。
その髪色を見間違えるはずがなかった。

(うっ……そやろ……)

――時間が止まった気がした。

(松原)「…………誰やと思ってたの?」
(宮浦)「あっ……、いや、その……てっきり穂乃果なんかと……」

――今度こそ、時間が止まった。

(松原)「……ふーん、穂乃果か」

(やばい、完全に声色が氷点下になってる……)

(松原)「なんで穂乃果さんやと思ったの?」
(宮浦)「その……本部席におったからてっきり……」
(松原)「だって……一緒に来た人が急に水道の方に行ったら、見に来るに決まってるじゃん」
(宮浦)「……ごめん」
(松原)「……何が?」
(宮浦)「その……間違えて……」
(松原)「別に怒ってないけど?」
(宮浦)「………………そういえば、何で来てくれたん?」
(松原)「だって……急に居なくなったから……」

その声は、さっきより少しだけ柔らかかった。

(松原)「そろそろ仕事あるから、先戻るね」
(宮浦)「……あ、待っ……」

(完全に怒らせたな……)

ミスった……なんで確認せんかったんや……
しかも、他の女子の名前を……
……いや、男子ならまだしも、女子はあかんやろ
あー、また顔熱なってきた……
…………もっかい洗お。
冷やしたところで意味ないけどさ……