「なんか、茉桜…表情柔らかくなったね、俺に対して」
「そんなことない」
「強がらなくていいよ。少しの笑顔でも、見れたら俺は嬉しい」
褒められるとどうしても、ツンモードに入ってしまう。
デレはないけど。
毎日共に過ごしてるうちに、あっという間に3ヶ月が経過する。
7月、じんわりと暑い。
だけど煌牙は、薄手のシャツを羽織って、腕を隠していた。
何でかは知ってる。
でも最近の傷は浅い。
いくら食事が改善されたって、家に帰ったらあの母親がいる。
苦しくなって、リスカに走るんだ、きっと。
「茉桜?帰ろ」
じっとりとした雨模様に、うんざりしながら考え事をしていた。
「うん…。雨だね」
「わーん、手繋げないじゃん!」
「知らん」
「ひどー」
煌牙の家の近くに来ると、
「そうだ、今月分の食費忘れちゃったから、家に取りに行くね」
「分かった。先帰ってる」
帰宅して、部屋着に着替えた。
ソファでぐでんとしているけど、まだ煌牙は来ない。
何かあったんだろうか。
そう思っていると、チャイムが鳴る。
煌牙か。
玄関を開けた。
外の雨はさっきより勢いが増していた。
そこにいたのは、息を切らして全身びしょ濡れの煌牙だった。



