「ちょっと、どこ行くの?」
彼は私のカーディガンの裾をちょんとつまんだ。
「先約あるから!」
「いやいや、昨日入学式で友達って、あの2人しかいないでしょ」
「とにかくあるの!」
私は裏庭のベンチまで走った。
そこでゆっくり食べていると、5分もしないうちに煌牙がやってくる。
「やっぱここいたか…。先約って、1人じゃん」
「今から来るの!」
「俺のこと待ってたの?」
「話聞いてた?」
彼は持ってきたコンビニのおにぎりとパンを食べ始める。
「足りるの?」
「足らす」
女子並の食事量。
親は弁当作る時間の余裕ないのかな。
まあ別に、口出すことでもない。
私が食べ終わると、肩を抱いてきた。
「俺のどこが好き?」
「今のところ顔だけ」
「まあうん、ありがと。声とか匂いは?」
「嫌いじゃない」
「そこは好きって」
「嫌いじゃない」
「俺変な匂いする?え、俺の洗濯の仕方間違ってんのかな」
「そうそう、臭い臭い」
「冗談でも傷付くよ?」
私は思わず、ふっと笑ってしまった。
「俺に初めて笑顔見せてくれたね。いつもムスッとしてるのに」
「ムスッとしてて可愛くない彼女なんかさっさと別れな」
「他人事みたいに言わないでよ」
「じゃあ、別れよ」
「え」



