駅を降りて、やっとまともに呼吸できるようになった。
多分ずっと呼吸が浅かった。
少しフラフラする。
「壁ドン怖かった?」
「なんでもないから忘れて」
いじけた犬みたいな顔をする。
当たり前のように手を繋いで、学校へ。
教室に着くと、
「おはよー」
「おはよう、茉桜。彼氏とラブラブで登校とか羨ましいんだけどー」
香奈がそう言ってきた。
「別にラブラブじゃないよ」
「手繋いでるじゃん!」
「繋がれてるだけだよ」
香奈は笑っていた。
目の端に映る煌牙の顔は、しゅんとしていたけれど。
「席にリュック置いてくる」
「ん」
わざわざ報告しなくていいのに。
「茉桜ってさ、名前も可愛いし顔も可愛いから、憧れる!」
「えー?」
香奈がそういうことを言ってきた。
「香奈って名前も素敵だよ」
「へへへー」
そこに美々がやってきて、雑談していた。
昼休み。香奈と美々の3人で食べるんだと思ってた。
だけどまあ予想通りやってきた、煌牙。
「茉桜、こっちおいで。お昼、一緒に食べよ」
立っていた私は固まってしまった。
違う、そうじゃない。
距離を取るんだ。
私は弁当を持って廊下に出た。



