電車に乗ると、遅延していた影響でやたら混んでいた。
さすがに手を離してきた。
私はドアに押し付けられていた。
煌牙に壁ドンされてる状態で。
ドキドキする。
影になる煌牙の顔が、少し大人っぽくてドキッとした。
目を逸らした。
「目逸らさないで」
そう囁かれた。
鼓動が伝わったらどうしよう。
傷付きたくない、好きになっちゃいけない。
心に刻み込んだ。
それなのに、なんでそんな愛おしそうに見つめるの。
揺らぐ、揺らいでしまう。
本気で好きになってしまう。
段々涙目になってくる。
恋してしまいそうな自分が怖くなった。
「え、何?どうした?」
「なんでもない」
カーディガンの裾でそっと涙を拭いた。
ただ真っ直ぐ目線を向けていたから、大体煌牙の胸の辺りを見ていた。
…嫌だ、煌牙の手中には嵌りたくない。
振るんだ、振るんだ。
だけど、他の子に行くのが嫌だって思ってしまう自分がいて…。
一目惚れみたいなのした時点で分かってるじゃん。
煌牙のこと、好きだって。



