いつ降りるのか、待っていたら私の降りる駅までついてきた。
「なに、家までついてくるの?」
「違うよ、俺もこっちだよ」
「嘘だ」
「本当だって」
ホームから出ても、私の隣を歩いている。
ICカードをしまうのに苦戦していて、手を繋いでないのをいいことに、私は走り出した。
「おっ、ちょっ」
でも追いつかれて、バックハグされた。
「待ってよ、行かないで」
力強く抱き締めてきた。
「ゆっくりでいいから、俺のこと信用してよ。逃げないで、俺だけ見てて。お願いだから」
寂しそうな声だった。
だけど同情はしたくない。
そうやって、落としてきたんでしょ?
「分かったから、離して」
「うん…ごめん」
また2人で歩き出した。
「俺ん家ここ」
中古マンションだった。
築年数がお世辞にも浅そうとは言えない。
「じゃあ、私もっと向こうだから」
「うん、ついて行きたいけど、嫌がりそうだから今日は諦めるよ」
「ばいばい」
やっと1人になれた。
ふぅ…と息をついた。
いつ振ろう。
明日振っても、駄々こねられる気がする。
私もう傷付きたくないんだよ。



