死の鬼ごっこ

俺と、友達四人は、気がつくと廃工場にいた。

どうしてこんな所にいるのか、誰にもわからない。
おまけに、俺たちの首には首輪がつけられていた。

気味悪がっていると、急にどこからか男の声が聞こえてきた。

「やあ。全員目を覚ましたようだね。突然だけど、君たちを誘拐したよ」

誘拐。その言葉を聞いて、何人かが悲鳴をあげる。
男の話は、さらに続く。

「誘拐と言っても、身代金をとるわけじゃない。君たちは、これから私を楽しませるためのゲームをやってもらう。難しいことじゃないよ。君たち全員で、鬼ごっこをするだけさ」

なんだそれ?
そんなことのために誘拐なんてしたのか?

「ただし、鬼に捕まった者は、罰としてこうなる」

その瞬間、近くで爆発が起きる。
ビクリと震えると、男は楽しそうに続けた。

「これと同じ爆弾が、君たちの首輪についている。鬼に捕まったら爆発させるよ」

つまり、鬼に捕まったら死ぬってことじゃないか!

冗談じゃない!
けど逆らったら即爆発させると言われ、みんな仕方なく鬼ごっこを開始する。

それからは、死にもの狂いだ。逃げる側になった俺は、鬼に捕まらないよう必死に逃げる。

「制限時間まで逃げ切った者は、無事に帰してあげよう」

その言葉が、俺をさらにやる気にさせた。
そして、必死になると、思わぬ力が出るものだ。
なんとか鬼に捕まることなく、制限時間を迎えることができた。
俺だけじゃなくら他のみんなもそうだ。

「一人も捕まらないとは残念。けどルールだから仕方ない。無事に返してあげよう」

そこで、俺たちの意識は途切れる。
気がついた時には、いつも遊んでいる公園で倒れていた。

周りを見ると、友達が同じように倒れてる。
逃げ切ったら返してくれるって、本当だったんだ。
助かったとわかって、俺たち四人は一斉に涙を流した。


【解説】

冒頭に、『俺と、友達四人』とあるように、誘拐されたのは全部で五人。
だが最後には、四人しかいない。
一人はどこに消えたのか。

全員でやった鬼ごっこだが、五人で鬼ごっこをやると、一人が鬼で残り四人が逃げる側になる。
見事逃げ切った四人は、約束通り無事に帰してくれたが、鬼になった一人は帰してもらえなかった。