正直に言おう。俺、龍崎蓮は、世界で一番「総長」に向いていない男だ。
じいちゃんに無理やり継がされた『黒龍』の看板。特攻服を着て、鋭い目つきで歩けば誰もが道を開けるけれど、内面は女子と目が合っただけで心臓が口から飛び出しそうになるヘタレだ。
そんな俺の「化けの皮」を、一瞬ではぎ取ったのが、如月実花だった。
旧校舎でウサギのぬいぐるみを抱いて泣いていた俺に、あいつは容赦なく分厚い単語帳をフルスイングでぶつけてきた。
「情けないにも程があるわね」
……衝撃だった。恐怖じゃなく、あんなに真っ直ぐ俺を「ゴミ」を見るような目で見る女子、人生で初めてだったから。
最初は、秘密を握られた弱みで「更生プログラム」なんていう地獄の特訓に付き合わされた。
毒舌だし、容赦ないし、目は怖いし。
でも。
俺が怪我をしたとき、あいつは「内申点のためよ」なんて言いながら、震える指先で絆創膏を貼ってくれた。
俺がピンチのとき、モニターの向こうで「よかったぁ」って泣きそうな声を出してくれた。
(……ああ。この女、口は悪いけど、俺のことをちゃんと『見て』くれてるんだ)
そう気づいた瞬間、女子恐怖症なんてどうでもよくなった。
ただ、この「氷の毒舌姫」の隣にいても恥ずかしくない男になりたい。あいつの冷たい唇を、俺だけの言葉で甘く溶かしてみたい。その一心だった。
あの一ノ瀬にさらわれたとき。
俺は、生まれて初めて「看板」じゃなく「自分」の拳で戦った。
実花を抱きしめたとき、その体が小さくて、脆くて……。
「守ってやる」なんて偉そうなことを言いながら、俺の方がずっと、あいつの強さに救われていたんだ。
今の俺?
相変わらず、実花に「シャキッとしなさい!」って怒られてばかりだ。
女子全員が怖いのは変わらない。でも、実花だけは別。
怒った顔も、不器用に照れる顔も、時折見せるとろけるような笑顔も。
全部、俺を「最強」にしてくれる魔法だ。
「おい、蓮! またボサっとしてんじゃないわよ!」
「わっ、ごめん実花! 今、お前のこと考えてて……」
「……バカ。……早く行くわよ」
繋いだ手から伝わる、実花の熱。
俺の人生のプロデューサーは、世界で一番強くて、世界で一番愛おしい。
俺を本物の男にしてくれて、ありがとな。
一生、お前の『ポチ』でいてやるよ。
Side: 龍崎 蓮 完結。
じいちゃんに無理やり継がされた『黒龍』の看板。特攻服を着て、鋭い目つきで歩けば誰もが道を開けるけれど、内面は女子と目が合っただけで心臓が口から飛び出しそうになるヘタレだ。
そんな俺の「化けの皮」を、一瞬ではぎ取ったのが、如月実花だった。
旧校舎でウサギのぬいぐるみを抱いて泣いていた俺に、あいつは容赦なく分厚い単語帳をフルスイングでぶつけてきた。
「情けないにも程があるわね」
……衝撃だった。恐怖じゃなく、あんなに真っ直ぐ俺を「ゴミ」を見るような目で見る女子、人生で初めてだったから。
最初は、秘密を握られた弱みで「更生プログラム」なんていう地獄の特訓に付き合わされた。
毒舌だし、容赦ないし、目は怖いし。
でも。
俺が怪我をしたとき、あいつは「内申点のためよ」なんて言いながら、震える指先で絆創膏を貼ってくれた。
俺がピンチのとき、モニターの向こうで「よかったぁ」って泣きそうな声を出してくれた。
(……ああ。この女、口は悪いけど、俺のことをちゃんと『見て』くれてるんだ)
そう気づいた瞬間、女子恐怖症なんてどうでもよくなった。
ただ、この「氷の毒舌姫」の隣にいても恥ずかしくない男になりたい。あいつの冷たい唇を、俺だけの言葉で甘く溶かしてみたい。その一心だった。
あの一ノ瀬にさらわれたとき。
俺は、生まれて初めて「看板」じゃなく「自分」の拳で戦った。
実花を抱きしめたとき、その体が小さくて、脆くて……。
「守ってやる」なんて偉そうなことを言いながら、俺の方がずっと、あいつの強さに救われていたんだ。
今の俺?
相変わらず、実花に「シャキッとしなさい!」って怒られてばかりだ。
女子全員が怖いのは変わらない。でも、実花だけは別。
怒った顔も、不器用に照れる顔も、時折見せるとろけるような笑顔も。
全部、俺を「最強」にしてくれる魔法だ。
「おい、蓮! またボサっとしてんじゃないわよ!」
「わっ、ごめん実花! 今、お前のこと考えてて……」
「……バカ。……早く行くわよ」
繋いだ手から伝わる、実花の熱。
俺の人生のプロデューサーは、世界で一番強くて、世界で一番愛おしい。
俺を本物の男にしてくれて、ありがとな。
一生、お前の『ポチ』でいてやるよ。
Side: 龍崎 蓮 完結。



