氷の令嬢は、最強(?)総長の『子守役』を命じられる

「……場所を変えよう。ここは少し、騒がしくなりそうだ」
一ノ瀬は冷たく言い放つと、私の口を塞ぎ、さらに奥にある隠し小部屋へと引きずり込んだ。そこは窓一つない、冷暖房だけが虚しく響く完全な密室だった。
彼は手際よく私の手足の拘束を解いたかと思うと、逃げる間も与えず、私を簡易的なベッドへと押し倒した。
「な、何をするの……やめて、一ノ瀬さん!」
「実花さん。君はまだ、自分が置かれている状況を理解していないようだね」
一ノ瀬の手が、私の制服のリボンに伸びる。抵抗する私の両手を取り押さえ、彼はまるで見せつけるようにゆっくりと、私のブラウスのボタンを一つ、また一つと外していった。
肌に触れる冷たい空気と、彼の凍りつくような視線。辱めに震える私を見下ろし、彼は耳元で残酷な二択を突きつけた。
「今、龍崎くんは君を探して狂ったように走り回っているだろう。……だが、彼がここを見つけるのと、僕が君を『僕のもの』にするの、どちらが早いかな?」
彼の指が、露わになった私の肩をなぞる。嫌悪感で全身に鳥肌が立つ。
「君がここで僕を受け入れ、僕に従うと誓うなら……彼の命だけは助けてあげてもいい。不良たちには、彼を再起不能にするよう命じてあるんだ。君が拒絶し続ければ、彼は明日にはもう、その自慢の拳も振るえなくなっているだろうね」
「……っ、そんな……卑怯よ……!」
「卑怯? 僕は愛を語っているんだよ。実花さん。……さあ、選びなよ。君のプライドか、それとも、あの大切な『ポチ』の未来か」
一ノ瀬の顔が近づき、彼の熱い吐息が首筋にかかる。
私のスカートに手がかけられ、絶望的な重みがのしかかる。
(龍崎くん……来ないで……。こんな私、見られたくない……!)
私の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
その涙を一ノ瀬は愛おしそうに指で拭うと、獣のような瞳で私を組み伏せた。
「泣かなくていい。……すぐに、僕なしではいられなくなるから」
一ノ瀬の唇が、私の肌を侵食し始める。
遠くで聞こえていたバイクの音も、今はもう、私の耳には届かなかった。