放課後。校門を出ると、街灯がぽつぽつと灯り始めていた。
いつもならバイクで爆音を鳴らして帰るはずの龍崎が、なぜか今日はフルフェイスのヘルメットを腕に抱え、私の隣を歩いている。
「……なんでついてくるのよ。暴走族の総長が、徒歩で下校なんて格好つかないでしょ」
「いいんだよ。今日は……その、実花と話したいことがあったし。それに、一ノ瀬の野郎がまた何してくるかわかんねえだろ」
龍崎はバツが悪そうに視線を逸らし、わざとらしく辺りをキョロキョロと見渡している。
女子が怖いと言っていた彼が、今は自ら進んで私の隣を歩き、私を守ろうとしている。その変化が、胸の奥をチクりと刺した。
「……一ノ瀬会長なら大丈夫よ。あんな人、私の毒舌で追い払ってあげるから」
「強がんなよ。あいつ、実花のこと見てる時の目が……マジなんだよ。俺、そういうのだけは鼻が利くんだ」
龍崎が立ち止まり、私の前を塞ぐように立った。
夕日に照らされた彼の金髪が、キラキラと輝いている。
「実花。俺さ……本当は、総長なんて向いてねえってずっと思ってた。でも、お前に『本物の男にしてやる』って言われてから、初めて……この場所で、お前の隣で、強くなりたいって思ったんだ」
その言葉は、昨日の「嘘の恋」を壊すほどに重かった。
私は動揺して、いつものように突き放す言葉を探したけれど――。
彼の大きな手が、おずおずと私の指先に触れた。
「……握っても、いいか? 練習じゃなくて、その……本気で」
龍崎の手は、まだ少し震えていた。
それでも、彼は逃げずに私の目を見つめている。
私は一瞬、俯いてから、蚊の鳴くような声で答えた。
「……五分だけよ。それ以上は、延長料金取るからね」
私が指を絡めると、龍崎はパッと顔を輝かせて、私の手を壊れ物を扱うように優しく、けれど力強く握りしめた。
繋いだ手から伝わってくる、彼の熱い体温。
アスファルトに伸びる二人の影が、ゆっくりと重なっていく。
「……バカ。……あったかいじゃない」
「え、なんか言ったか?」
「なんでもないわよ! ほら、早く歩きなさい!」
私は真っ赤な顔を隠すように、繋いだ手をぐいっと引っ張って歩き出した。
恋愛なんて、効率が悪くて、内申点にも響く無駄なものだと思っていた。
なのに今、この繋いだ手を離したくないと思っている自分が、たまらなく愛おしくて、怖かった。
いつもならバイクで爆音を鳴らして帰るはずの龍崎が、なぜか今日はフルフェイスのヘルメットを腕に抱え、私の隣を歩いている。
「……なんでついてくるのよ。暴走族の総長が、徒歩で下校なんて格好つかないでしょ」
「いいんだよ。今日は……その、実花と話したいことがあったし。それに、一ノ瀬の野郎がまた何してくるかわかんねえだろ」
龍崎はバツが悪そうに視線を逸らし、わざとらしく辺りをキョロキョロと見渡している。
女子が怖いと言っていた彼が、今は自ら進んで私の隣を歩き、私を守ろうとしている。その変化が、胸の奥をチクりと刺した。
「……一ノ瀬会長なら大丈夫よ。あんな人、私の毒舌で追い払ってあげるから」
「強がんなよ。あいつ、実花のこと見てる時の目が……マジなんだよ。俺、そういうのだけは鼻が利くんだ」
龍崎が立ち止まり、私の前を塞ぐように立った。
夕日に照らされた彼の金髪が、キラキラと輝いている。
「実花。俺さ……本当は、総長なんて向いてねえってずっと思ってた。でも、お前に『本物の男にしてやる』って言われてから、初めて……この場所で、お前の隣で、強くなりたいって思ったんだ」
その言葉は、昨日の「嘘の恋」を壊すほどに重かった。
私は動揺して、いつものように突き放す言葉を探したけれど――。
彼の大きな手が、おずおずと私の指先に触れた。
「……握っても、いいか? 練習じゃなくて、その……本気で」
龍崎の手は、まだ少し震えていた。
それでも、彼は逃げずに私の目を見つめている。
私は一瞬、俯いてから、蚊の鳴くような声で答えた。
「……五分だけよ。それ以上は、延長料金取るからね」
私が指を絡めると、龍崎はパッと顔を輝かせて、私の手を壊れ物を扱うように優しく、けれど力強く握りしめた。
繋いだ手から伝わってくる、彼の熱い体温。
アスファルトに伸びる二人の影が、ゆっくりと重なっていく。
「……バカ。……あったかいじゃない」
「え、なんか言ったか?」
「なんでもないわよ! ほら、早く歩きなさい!」
私は真っ赤な顔を隠すように、繋いだ手をぐいっと引っ張って歩き出した。
恋愛なんて、効率が悪くて、内申点にも響く無駄なものだと思っていた。
なのに今、この繋いだ手を離したくないと思っている自分が、たまらなく愛おしくて、怖かった。



