勝手に恋して


 練習試合から一週間が経った。
 莉子にLINEを送ろうか悩み、この前終わったばかりだからなと思い辞めてしまう。

 学校帰り、いつもの道で自転車を漕いでいると少し前に葵先輩が見えた。自転車のギアを上げ、スピードを上げ追いついた。
「あっ、れんれんじゃん。お疲れー。」
 そう先輩からは“れんれん”と呼ばれている。理由は分からない。
「お疲れさまです。」
「れんれんにずっと聞きたかったんだけどさ、結局莉子ちゃん?だっけ、その子とどうなの?」
「あ、この前LINE送ってもらった日に色々話して終わって、そこからはまだ何も。」
 そう言うと、ちょうど信号が赤になった。スマホを取り出し、トーク履歴を見せた。
「結構良い感じじゃん。なんか推しの話するってれんれんっぽいね。」
 そう言って先輩は笑っていた。
「まあでも結構良い感じだからどんどん攻めてこ!」
「でも、LINE送りすぎたら嫌われたりしないですかね?」
 うーん、と言い、首を傾げた。
「でもそれは人によるかも。別に嫌いじゃない人からならどんだけ送られてきてもそんなこと思わないんじゃない?」
「ほんとですか?」
「多分莉子ちゃんは、自分のことが好きってなんとなく気づいてると思うんだけど、自分のことを好きでいてくれる人を嫌いになるなんてあんまないんじゃない?」
「確かに、そうかもですね。」
「だから、今日は帰ったらLINE送ってみて。」
 そう言って俺の背中をドンと押した。少しやる気が湧いたような気がする。
「はい、分かりました。じゃあ早く帰りましょう。」
 うん、そう葵先輩は言い、2人で爆速で家に帰った。

 家に着くと、まだ誰も帰ってきていなかった。お母さんとお父さんは仕事で、一つ年下の中一の妹はどうせ友達とぐだくだと話しているんだろう。
 クーラーを付け、トーク画面を開き送る内容を考えた。この好きな人を想う、この時間が何よりも幸せだなと感じた。
 “お疲れ様”と送るか、“こんにちは”と送るか、それとも違う文章で始めるのかが分からない。
 だけどさすがに“こんにちは”はどうかと思い、“お疲れ様”を送ることにした。
 (蓮:お疲れ様ー!)
 送信ボタンを押した後、なぜか顔がニヤけてしまう。