「いや、ほんと王子様みたいだよなって」
「またそれ?嬉しくないって」
ことあるごとに本人に言っちゃってるから、これを言うといつも煩わしがられちゃう。
ム、と顰めた顔は、普通の男子なんだけどね。
「褒めてるのに」
「褒めてても。……俺が欲しいのはそういうのじゃないの」
へら、と笑って揶揄う私に和樹は焦ったそうに眉を寄せる。
まだけらけらと笑うのをやめない私に、和樹が手を伸ばした時。
「――すみません」
爽やかな男の子の声が割り込んできた。
目の前に人が立っている。
受付にひとり、新入生が来てたのに気づかなかった。
「あっ、ごめんなさい!」
パッと前を向いてコサージュを手にする。
宙で止まった和樹の手は、ゆっくりと資料に落ちていった。
「えーと、入学おめでとうございます」
コサージュを両手に乗せて差し出して、視線を上げて新入生くんに笑顔を向ける。
視界に飛び込んできたその子の顔に、びっくりして目が大きく開いた。



