司くんに愛されすぎてる。



新年度初日から寝坊なんて、やっちゃった。




――倉前 奏(くらまえ かな)、高校2年生。
正確には、“明日から”高校2年生。



パタパタと春うららかな通りを、全力で駆け抜ける。


目的地である若葉高校に近づくにつれて、新品の制服に身を包んだ男女が増えていく。



今日は入学式。

私はそこで会場設営の手伝いや受付を担当することになっていた。



なのに、集合8時から30分も遅刻!

ほんとうにやらかした。



“入学式”の立て看板を掲げた校門が見えてくる。

そこで記念写真を撮るために新入生達の人集りができている。


ポケットからスマホを出して、時刻を確認。


(8時35分。会場設営はできなかったけど、受付開始にはなんとか間に合いそう)


賑わう校門前をあっさりと通り抜けて、玄関に入る。

玄関ホールに背の高い男子を囲む、女の子の人だかりが出来ていた。



サラサラの深い茶髪に、物腰の柔らかそうな王子顔。
私はこの人に謝らないといけない。