司くんに愛されすぎてる。


♪〜♪〜



遠くから急に近づいてきたみたいに、耳元で騒ぐ着信音。


ぼやんと景色が揺らいで、小さな男の子が霧の中に消える。

同時によく知った自分の部屋の天井が見えてきた。


「……ゆめ?」



どんな夢だったっけ?

忘れたけど、なんか懐かしい風景だったような……



♪〜♪〜

待って、着信しつこ……
ずーっと鳴りっぱなし――


スマホを手に取って、表示されてる“櫛本和樹”の名前と“8:00”の時刻にサァッと血の気が引いて一気に目が覚めた。


だって、起床予定は7:30だったから。



「やっば!」


転がり落ちそうになりながらベッドを抜け出して、ドタバタと身支度を整える。


クリーニングしてちょっとはパリッとしたグレーのブレザーと紺のスカートを急いで着て、いうことを聞かないくせっ毛を二つに束ねてまとめて。


「あら、奏。朝ごはんは?」

「ごめん、今日はもう出る!
いってきます!」


朝ごはんはパスして家を飛び出した。