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夜中、喉の奥にひりつくような乾きを覚えて、澄華は⽬を覚ました。
時計を⾒るまでもなく、深夜だと分かる静けさ。
宿舎全体が、眠りに沈んでいる。
ベッドから抜け出し、⾳を⽴てないようにドアを開ける。
⼆階の廊下は薄暗く、⾜⾳がやけに響く気がして、⾃然と歩幅が⼩さくなった。
階段を降りると、ひんやりとした空気が肌を撫でる。
(寒……)
春先とはいえ、夜はまだ冷え込む。
キッチンへ向かおうとしたその途中、リビングに⽬をやった。
ソファ。
そこに、凛がいた。
背もたれにもたれかかるように、無防備な姿勢で眠っている。
隊服の上着も脱がず、腰のホルスターも付けたまま。
当然、⽑布などは何もかけていなかった。
「……」
思わず、眉をひそめる。
(あれだけ強いのに……⾃⼰管理はなってないんだ)
そう思いながらも、視線は⾃然と部屋の隅に置かれた⽑布へ向かった。
⾵邪をひかれては困る。
それだけの理由だった。
……はずだ。
澄華は静かに⽑布を⼿に取り、凛の前に回り込む。
その瞬間。
――動きが、⽌まった。
⽬に写ったのは凛の顔。
先程までは、険しく、冷たく、他者を寄せ付けない表情だった。
けれど今は、先程までのそれとはまるで違っていた。

