空を知らない君に送る唄

――⽗の話は、いつも私の⼩さな世界を広げてくれた。

「地上はな、空気も⾵も⽔も、全部ここと違うんだ。

匂いも温度も、全部が⽣きてる」

⽗は上進隊の隊員で、任務で家を空けることがほとんどだった。

⽗と⼀緒に過ごせる時間はいつも短かったけれど、その分、⼀⾔⼀⾔が 胸に刻まれるようだった。

地上の話を聞くと、私の頭の中に⾒たことのない景⾊が広がった。

⺟は膵臓がんで、私がまだ幼い頃に亡くなった。

物⼼がつく前だったので、うっすらとしか覚えていない。

病院の⽩い壁、⺟のやわらかい⼿、淡い笑顔……。

それだけが、私の⼼に残る⺟の記憶だ。