肺が焼けるように痛い。
⼼臓が、うるさいほど鳴っている。
(……負けた……)
澄華は、そう理解した。
凛は、⼆⼈を⾒下ろしている。
呼吸ひとつ乱れていない。
汗⼀つ、かいていない。
これが、『芍薬』という最⾼階級の称号を持つものとの差なのか。
「――終了だ。」
短く、断定する声。
その⼀⾔で、すべてが終わった。
沈黙。
⽊々が⾵に揺れる⾳だけが、やけに⼤きく聞こえる。
「……くっ……」
先に声を漏らしたのは、陽⽃だった。
悔しそうに⻭を⾷いしばり、天を仰ぐ。
「……強すぎだろ……反則っすよ……」
凛は答えない。
代わりに、視線を澄華へ向けた。
その⽬は、先ほどの嘲笑でも、遊びでもない。 ――観察。
「⾬宮....だったか?」
名を呼ばれ、澄華は息を詰める。
「判断は早い。
⾝体能⼒も、百合にしちゃ出来すぎだ。」
淡々とした声と評価。
けれど、次の⾔葉は冷たかった。
「だが――
⾃分を捨てすぎてる。」
胸が、きゅっと締めつけられる。
「お前、死ぬ前提で動いてるだろ。」
図星だった。
何も⾔い返せない。
凛は、今度は陽⽃を⾒る。
「佐倉。」
「……はい。」
「反応速度と適応⼒は異常だ。
さっきのカバーも連携も、咄嗟にしては上出来だ。」
陽⽃の⽬が、僅かに揺れる。
「……だがな。」
凛の声が、低くなる。
「お前は守る側に回りすぎだ。
そんな戦い⽅だと、すぐ死ぬぞ。」
その⾔葉に、陽⽃は⾔葉を失った。
沈黙が落ちる。

