空を知らない君に送る唄


澄華の背中が、地⾯に叩きつけられた。

息が、肺から強制的に吐き出される。

「……っ、かは……!」

視界が揺れ、⼟と枯葉の匂いが⿐を突いた。

反射的に起き上がろうとした――その瞬間。

上から、影が落ちる。

(――来る……!)

だが、澄華が動くよりも早く。

「――っらあぁ!!」

⽊の上から、陽⽃が⾶び込んできた。

磁着を解除し、落下の勢いをそのまま攻撃に変える、無茶な突撃。

だが。

凛は、振り返った。

まるで最初から分かっていたかのように。

「……やっぱりそう来るよな。」

低く、どこか楽しげな声。

次の瞬間、凛の⾝体がわずかに沈む。

避ける。
――否。

“ずらした”

陽⽃の軌道から、ほんの数センチ外れるだけ。

それだけで、攻撃は空を切る。

「――っ!?」

陽⽃の⽬が⾒開かれた、その⼀瞬。

凛の拳が、迷いなく振り抜かれた。

ゴッ――!

鈍い⾳。

⾸の後ろ。

意識と⾝体の接続が、強制的に断ち切られる。

「――っ……!」

陽⽃の⾝体が、⼒を失って落ちた。

ドサリ、と地⾯に転がり、澄華のすぐ隣で⽌まる。

⼆⼈は並んで仰向けになった。

空は⾒えない。

あるのは、⽊々の隙間から差し込む薄暗い光だけ。