空を知らない君に送る唄


照準も迷いもない。

引き⾦を引く⾳が乾いた空気を裂き、円盤状のポインターが弾丸のように⾶ぶ。

――ガンッ!

数メートル先の⽊の幹に、正確に突き刺さった。

「――しっかり掴まってろよ!!」

叫ぶと同時に、陽⽃は澄華を抱きかかえた。

次の瞬間、跳躍装置が唸りを上げる。

ドンッ――!!

圧縮された空気が放たれ、⾝体が地⾯から引き剥がされる。

視界が⼀気に跳ね上がり、重⼒が⼀瞬、仕事を忘れたかのように消えた。

(――⾼い……!)

⾵を切る⾳。

⽿鳴り。

視界の端で、凛の姿が⼀瞬⼩さくなる。

陽⽃は空中で迷わず、指先に装着したサック型のスイッチを押した。

カチ。

次の瞬間、全⾝が引き寄せられる。

急降下。

ポインターの付いた⽊へ、勢いよく吸い寄せられるその刹那――

陽⽃は⽚⼿を伸ばした。

地⾯に転がっていた、澄華の磁極砲。

指先が、ぎりぎりでそれを掴む。

「――っ、よし!!」

勢いを殺さぬまま、⾝体を半回転させる。

⾜で⽊の幹のポインターを捉え、衝撃を受け流す。

⼀瞬、陽⽃の顔が⾒えた。

⽬が、僅かに⾒開かれている。

だが恐怖ではない。 ――⾼揚。

「……っ」

そして、その視線の先には――凛。

先ほどまでの冷え切った嘲笑ではない。

僅かに、ほんの僅かに。

楽しそうに、⼝⾓が上がっていた。

その視線を合図にするかのように。

「⾏け!!」

陽⽃は、磁極砲を澄華のカーゴパンツのポケットに⼊れると――

澄華を投げた。

「ちょっ――!?」

声が漏れたのは⼀瞬。

⾝体はもう、空中に放り出されている。

(――もう考えるな!!)

反射的に⾝体を捻り、着地の体勢を取る。

凛が、⽬の前に迫る。

澄華は、着地と同時に脚を振り抜いた。

――投げ⾶ばされた分の衝撃も上乗せされた、鋭い蹴り。