空を知らない君に送る唄


澄華は、まだ湯気の⽴つコーヒーを⼀気に喉へ流し込むと、空になった

マグカップをトレーに戻した。

苦味と熱さが⼀瞬だけ喉を焼いたが、顔⾊⼀つ変えない。

そのまま無⾔で⽴ち上がり、腰に下げていたホルスターの位置を

調整する。

ベルトを締め直し、装置の留め具を⼀つひとつ確認する動きは、

すでに何度も繰り返してきた者のそれだった。

肩にかかっていた髪を⼿でまとめ、迷いなく⼀つに結い上げる。

「……?」

キョトンとした顔でこちらを⾒つめる陽⽃を完全に無視し、

澄華は⽞関へと向かった。