空を知らない君に送る唄


澄華と陽⽃はしばらく沈黙したまま凛を⾒つめた。

すると突然、凛の⽬がハッと⾒開かれ、ものすごい剣幕でこちらに

詰め寄ってきた。

「お前ら、タバコは吸わねぇよな!?」

その低くも鋭い声に、陽⽃は思わず素っ頓狂な声を上げた。

「へっ!?」

沈黙が数秒流れ、陽⽃は慌てて⼿と⾸を⼤きく振る。

「いやいやいや!!俺らまだ16ですって、吸いませんよ!!!!」

声に少しの焦りと必死さが混じっていた。

凛はその答えを聞くと、少しだけ肩の⼒を抜いたように息をつき、

眉間のシワをゆるめる。

「……それでいい。俺はタバコが嫌いだ。肝に銘じておけ。」

その⾔葉に、陽⽃は⼀瞬うつむき、声を落として

「は、はいぃ……」

と消え⼊るように返す。

澄華も同様に⼩さく

「……はい」と答えた。

その瞬間、澄華の胸に⼩さな緊張と覚悟の感覚が混ざる。

これからここで過ごす⽇々が、楽しいものではないことは

容易に理解できた。

澄華は息を整え、背筋を伸ばす。

“こんなことで怖がってたら、異喰なんて相⼿すらできない――”

凛は再びソファに座り直し、⼿を組み合わせたまま⼆⼈をじっと⾒つめる。

その視線は冷たく鋭いが、どこか先程よりも柔らかくなったようにも思えた。

春の光が差し込む窓際で、三⼈の新しい⽣活の始まりが静かに幕を開けた――!