勝手に応募されたけど、センターは私がもらいます

審査も終盤に差し掛かり
「次の参加者――黒川悠牙」

会場がざわめいた。
後列の参加者たちも目を見開く。

高身長、整った顔立ち。
黒髪で凛とした雰囲気。

だが一番注目すべきは――悠牙はアメリカで既に活動していた元有名人という事実だ。

悠牙は静かに立ち上がり、ステージに歩み出す。
表情は穏やかだが、圧倒的な存在感が自然に滲み出ている。
「やばいあの悠牙だっ」
「私も悠牙のファンなの!」

スポットライトが当たる。

審査員席の五人が全員、視線を一斉に注ぐ。

「始めてください」
静かなギターとピアノの伴奏。
悠牙はゆっくり顔を上げ、歌い始める。

声は深く、落ち着きがあり、どこまでも伸びる。
聞く者の心に自然に届く。

サビに入ると、ダンスが始まる。
キレのある動き。
ステージ全体を広く使い、観客を包み込むような視線の使い方。

派手さはない。だが圧倒的な存在感とオーラが、会場の空気を支配していた。
(やばい…レベルが全然違う!)
曲が終わる。

静寂――そして、会場は拍手に包まれた。

審査員席では、最初に水城奏がメモを置いた。

「…さすがです」
「声の安定感、表現力、呼吸のコントロール。文句なしです」
「他の参加者とは明らかに次元が違う」

次に真田玲司。

「ダンスも圧倒的に上手い」
「軸がぶれないし、動きのキレが違う」
「観客を惹きつける演技力も備わっている」

天城蓮。

「ステージの支配力が半端ない」
「立ってるだけで目を奪われる」
「他の参加者が見劣りしてしまうほどだ」

神崎蒼馬も短く。

「完成度が高すぎる」
「隙がない、プロだ」

そして社長、神宮寺龍弥。
マイクを持ち、目を細めて悠牙を見つめる。

「黒川悠牙」

少し間を置く。

「君のパフォーマンスは――ただの合格点ではなく、感動の領域に近い」
「声、ダンス、表現力、すべてにおいて他の参加者とは明らかに次元が違う」

微笑を浮かべ、言葉を続ける。

「正直言うと、オーディションの空気をここまで支配するとは思わなかった」
「ステージ全体を自分のものにしていた。観る者の心を動かす力がある」
「今回のオーディションでは、まるで特別席に座るVIPのような存在だ」

悠牙は静かに頭を下げる。

「ありがとうございます」

ステージを降りると、姫乃は思わず息を呑んだ。

「……すごすぎる」
「なんか、空気ごと変わったみたい」

陽斗もうなずく。

「うん、完全に別格だ」

悠牙は椅子に座ると、静かに前を見つめる。
微笑ひとつに、さりげない色気と自信が漂っていた