実は今日から卒業式の練習が始まるのだ。
卒業式は袴で行く予定だから、階段で踏み外さないように、気をつけながら登る。
練習はあってからこそ成り立つものだから。
先生が前でヤンチャな男の子を注意している。
だからというか練習が進まない。
ほかの先生も出てこない。
じゃあどうすれば始まるかな…と考えているうちに、いつの間にか説教が終わっていた。
まとめのじゃあ、他の人もふざけるようなことをしないでくださいねという言葉。
ごもっともすぎるのかみんなは少し黙った。
お辞儀を90度にする練習の時、家で練習していた私は、お手本になるように前に連れていかれた。
お手本になることは構わない。でも全校生徒の前に立つというのはやっぱり少しだけ慣れない。
緊張もする。
でも、ふと目を向けると、真剣に取り組んでいるかなの姿があって、見ると胸が高鳴る。
単純だな…と心の中で笑いつつも、結局は、その感情を否定できなかった。
自分の席に戻ると、「さすが利乃だね!」という声が聞こえた。
「ありがとう」と返しつつも、本当にありがとうなんて思ってなかった。
まだまだ、私は未熟だから、友達が居るあなたたちに嫉妬してしまっているから。
汚い感情だな…と思うけれど、それもそれで私という叶多の励ましの言葉を思い出すと、気持ちが軽くなる。

