忘れないまま恋をした

しばらく沈黙が続いた。

泣きすぎて、頭がぼんやりする。

「忘れたくない」

少しの沈黙もなく、直哉は答えた。

「忘れなくていい」

その即答に、胸が震える。

「柚の中にいる人なんだろ?」

「重かったよね」

「こんな話」

直哉は少し首を振った。

「全然」

静かな声。

「柚が大事にしてきたものだろ」

胸がきゅっとなる。

「それを聞けたのは、むしろ嬉しい」