忘れないまま恋をした



ノートを覗き込んで、シャーペンを動かす。

「ここはこう」

「え、なんで?」

「公式」

呆れた顔。

そのやりとりが、いつも通りすぎて。

病気のことを、忘れそうになる。

「こんなのもわからなかったら受からないぞ」

颯斗はそう言って笑った。

私はその横顔を見ながら思う。

来年は、

この人の隣で大学を歩くんだって。

まだその時は、

未来を疑っていなかった。