蒼が言い直した私に対してクスクスと小さく笑ったのがわかった。
さっきは顔が見えていないことに安心していたけど、直接笑顔を見たかったな、と矛盾したことを考えている自分に気づく。
「お手紙も、ありがとう。もしよかったらなんだけど、お返事を書いてもいいかな…?赤毛のアンの本に挟んで毎回渡す、っていう…」
言ってから、やっぱりやめておいた方がよかったかもと少し後悔する。
名前も知らなかった彼と少し話して、近づけた気がして嬉しくて調子に乗ってしまった。
だけど蒼はそんな私に気にした様子もなく、優しく答えた。
「返事くれるの嬉しい。楽しみにしてる」
蒼は「そろそろ戻るね」と言って立ち上がると、ゆっくりと校舎に戻って行った。
花壇を元の位置に戻してから、蒼から受け取った手紙をそっと開く。
蒼らしい、綺麗で達筆な字が並んでいた。
『今日は本を貸してくださって、ありがとうございました。
おかげで帰りの電車でも夢中になって読んでしまいました。
実は、以前から同じ電車で毎朝あなたが楽しそうに本を読んでいるのを時々お見かけしていました。
どんなお話を読んでいるのだろうと、少し気になっていたのです。
ですから、今朝その本が「赤毛のアン」だと知って実は少し嬉しく思いました。
私も以前読んだことがあり、好きな本の一つだったから。
機会がありましたら、今度は私の好きな本もお貸ししたいと思います』
何度も何度も手紙を読み返しながら、自然と頬が緩んでいた。
昨日まで名前も知らない男の子だったのに。
まさかこんなことになるなんて。
もっとたくさん話して、蒼のことを知れたらいいな…。
これが、忘れられない夏になることに、この時の私はまだ気づいていなかった。
さっきは顔が見えていないことに安心していたけど、直接笑顔を見たかったな、と矛盾したことを考えている自分に気づく。
「お手紙も、ありがとう。もしよかったらなんだけど、お返事を書いてもいいかな…?赤毛のアンの本に挟んで毎回渡す、っていう…」
言ってから、やっぱりやめておいた方がよかったかもと少し後悔する。
名前も知らなかった彼と少し話して、近づけた気がして嬉しくて調子に乗ってしまった。
だけど蒼はそんな私に気にした様子もなく、優しく答えた。
「返事くれるの嬉しい。楽しみにしてる」
蒼は「そろそろ戻るね」と言って立ち上がると、ゆっくりと校舎に戻って行った。
花壇を元の位置に戻してから、蒼から受け取った手紙をそっと開く。
蒼らしい、綺麗で達筆な字が並んでいた。
『今日は本を貸してくださって、ありがとうございました。
おかげで帰りの電車でも夢中になって読んでしまいました。
実は、以前から同じ電車で毎朝あなたが楽しそうに本を読んでいるのを時々お見かけしていました。
どんなお話を読んでいるのだろうと、少し気になっていたのです。
ですから、今朝その本が「赤毛のアン」だと知って実は少し嬉しく思いました。
私も以前読んだことがあり、好きな本の一つだったから。
機会がありましたら、今度は私の好きな本もお貸ししたいと思います』
何度も何度も手紙を読み返しながら、自然と頬が緩んでいた。
昨日まで名前も知らない男の子だったのに。
まさかこんなことになるなんて。
もっとたくさん話して、蒼のことを知れたらいいな…。
これが、忘れられない夏になることに、この時の私はまだ気づいていなかった。

