Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

旬は違和感を覚える。

既読はついているのに、返事がない。
(忙しいのか…?)
もう一度だけ送る。

【体調悪い?】

希はベッドの上で、スマホを握りしめる。
涙が頬を伝う。
ただ、空白。



非公開アカウント。

《聞き間違いだといい。
 でも、もし本当なら。
 私は何?
 ちゃんと好きになったのに。
 “いませんよ”って言ったのに。
 勘違いだったのかな。》



旬からの連絡は途切れずに届く。
でも、希は返さない。

怖い。
真実を聞くのが怖い。
もし本当だったら——すべてが終わる。

今ならまだ、曖昧でいられる。
目を閉じて、現実を先送りにする。
心の中で、まだ“信じたい”自分がいる。

曖昧なまま

今ならまだ、曖昧でいられる。

一方、旬は焦り始めていた。

希は普段、こんなふうに連絡を無視したりしない。
必ず返信してくれる。必ず返してくれる人。

なのに——。
既読はついているのに、返事はない。

(何かあったのか?)
でも、何が?

心配と焦燥が交錯する。
短いメッセージを何度も読み返す。
電話も迷いながら何度も鳴らす。

けれど、答えは返ってこない。
ただ、画面の光が淡く揺れるだけ。

旬は息を整え、もう一度考える。

(落ち着け…焦っても何も始まらない)

でも心の奥では、希の不在がどんどん重くのしかかる。
胸の奥で、理由を知りたい気持ちが、ひそかに芽生えている。