希が旬の胸に顔を預けたまま、小さく言う。
「ねぇ、旬」
「ん?」
希は少しづつ言葉を選びながら打ち明けた。
「私、いつ赤ちゃん出来てもいいよ」
旬は驚いて。
「……え?」
希は続ける。
「今までちゃんと大事にしてくれてたよね。ありがとう」
旬は黙って聞いている。
希は顔を上げて、まっすぐ見る。
「もう結婚したし」
一瞬の沈黙。
旬が少し困った顔をする。
「今、妊娠したら困るでしょ?」
その言い方は現実的。
経営者の顔。
プロジェクトもある。
Minoもある。
でも希は、穏やかに言う。
「してもしなくても、困らないよ」
旬が目を細める。
「結婚したから?」
「うん」
希は小さく笑う。
「いつ来てくれたとしても、“嬉しい”だよ」
その言葉は、軽くない。
焦りでもない。
覚悟。
旬の視線が揺れる。
「仕事は?」
「やる」
「青山は?」
「やる」
「母親になっても?」
「やる」
迷いがない。
「全部やるって言ったでしょ」
旬はしばらく何も言わない。
そして、ゆっくり息を吐く。
「……強いな」
希が首を振る。
「違うよ」
「怖くなくなっただけ」
「旬がいるから」
その一言で、空気が変わる。
旬は希を抱き寄せる。
強くじゃない。
包むみたいに。
「俺はさ」
「うん」
「父親になる覚悟は、正直まだ具体的じゃない」
「でも」
少しだけ笑う。
「希との子なら、悪くないって思ってる」
希が笑う。
「上から目線」
「本当のこと。」
静かな時間。
旬が小さく言う。
「ちゃんと考えよう」
「勢いじゃなくて」
「二人で」
希は頷く。
「うん」
焦らない。
でも逃げない。
“いつ来ても嬉しい”という覚悟と、
“ちゃんと考える”という現実。
旬が額を合わせる。
「ありがとう」
「なにが?」
「俺を、未来に入れてくれて」
希は微笑む。
「最初からそのつもりだよ」
⸻
希が、少しだけ顔を赤くして言う。
「私の気持ちだから……あとは旬にまかせるよ」
旬はすぐには答えない。
ちゃんと意味を受け取っている顔。
その素直さに、旬は息を止める。
茶化さない。
軽く流さない。
ゆっくり希を抱きしめる。
「……ありがとう」
低くて、まじめな声。
「それ言うの、勇気いるだろ」
希は小さくうなずく。
旬は額をそっと合わせる。
「嬉しいよ」
「でも」
少しだけ距離を取って、目を見て言う。
「俺は、希が安心してるのが一番大事」
「勢いとか雰囲気じゃなくて」
「ちゃんと二人で決めたい」
希の目がやわらぐ。
旬が続ける。
「もしそうするなら」
「二人で、“いいね”って思えた時にしよう」
希はふっと笑う。
「理性的すぎない?」
旬も笑う。
「経営者だからな」
でもすぐ、優しくなる。
「でもその気持ちは覚えておく。
俺だけが知ってる、希の本音だから」
希が小さく照れる。
「忘れていいよ」
「忘れない」
ゆっくりキスをする。
深くじゃない。
確かめるみたいに。
旬がささやく。
「任せるって言ったから」
「うん」
「じゃあ今日は、ちゃんと守る」
希が少し笑う。
「ずるい」
「信頼は、丁寧に扱う」
その言葉に、希は安心して目を閉じる。
欲望だけじゃなくて、
未来も一緒に抱いている。
「ねぇ、旬」
「ん?」
希は少しづつ言葉を選びながら打ち明けた。
「私、いつ赤ちゃん出来てもいいよ」
旬は驚いて。
「……え?」
希は続ける。
「今までちゃんと大事にしてくれてたよね。ありがとう」
旬は黙って聞いている。
希は顔を上げて、まっすぐ見る。
「もう結婚したし」
一瞬の沈黙。
旬が少し困った顔をする。
「今、妊娠したら困るでしょ?」
その言い方は現実的。
経営者の顔。
プロジェクトもある。
Minoもある。
でも希は、穏やかに言う。
「してもしなくても、困らないよ」
旬が目を細める。
「結婚したから?」
「うん」
希は小さく笑う。
「いつ来てくれたとしても、“嬉しい”だよ」
その言葉は、軽くない。
焦りでもない。
覚悟。
旬の視線が揺れる。
「仕事は?」
「やる」
「青山は?」
「やる」
「母親になっても?」
「やる」
迷いがない。
「全部やるって言ったでしょ」
旬はしばらく何も言わない。
そして、ゆっくり息を吐く。
「……強いな」
希が首を振る。
「違うよ」
「怖くなくなっただけ」
「旬がいるから」
その一言で、空気が変わる。
旬は希を抱き寄せる。
強くじゃない。
包むみたいに。
「俺はさ」
「うん」
「父親になる覚悟は、正直まだ具体的じゃない」
「でも」
少しだけ笑う。
「希との子なら、悪くないって思ってる」
希が笑う。
「上から目線」
「本当のこと。」
静かな時間。
旬が小さく言う。
「ちゃんと考えよう」
「勢いじゃなくて」
「二人で」
希は頷く。
「うん」
焦らない。
でも逃げない。
“いつ来ても嬉しい”という覚悟と、
“ちゃんと考える”という現実。
旬が額を合わせる。
「ありがとう」
「なにが?」
「俺を、未来に入れてくれて」
希は微笑む。
「最初からそのつもりだよ」
⸻
希が、少しだけ顔を赤くして言う。
「私の気持ちだから……あとは旬にまかせるよ」
旬はすぐには答えない。
ちゃんと意味を受け取っている顔。
その素直さに、旬は息を止める。
茶化さない。
軽く流さない。
ゆっくり希を抱きしめる。
「……ありがとう」
低くて、まじめな声。
「それ言うの、勇気いるだろ」
希は小さくうなずく。
旬は額をそっと合わせる。
「嬉しいよ」
「でも」
少しだけ距離を取って、目を見て言う。
「俺は、希が安心してるのが一番大事」
「勢いとか雰囲気じゃなくて」
「ちゃんと二人で決めたい」
希の目がやわらぐ。
旬が続ける。
「もしそうするなら」
「二人で、“いいね”って思えた時にしよう」
希はふっと笑う。
「理性的すぎない?」
旬も笑う。
「経営者だからな」
でもすぐ、優しくなる。
「でもその気持ちは覚えておく。
俺だけが知ってる、希の本音だから」
希が小さく照れる。
「忘れていいよ」
「忘れない」
ゆっくりキスをする。
深くじゃない。
確かめるみたいに。
旬がささやく。
「任せるって言ったから」
「うん」
「じゃあ今日は、ちゃんと守る」
希が少し笑う。
「ずるい」
「信頼は、丁寧に扱う」
その言葉に、希は安心して目を閉じる。
欲望だけじゃなくて、
未来も一緒に抱いている。

