Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する

―発売日。

Mino公式サイト、公開10分。

在庫表示が次々に変わる。

【SOLD OUT】
【残りわずか】
【再入荷待ち】

広報が震える声で叫ぶ。

「希さん……完売です」

希、静かに画面を見る。

自分がモデルとして写っているトップページ。

柔らかな光。

過度に煽らないポージング。

振り向いた瞬間のヒップライン。

自然に下ろした肩。

“着ててなんかいいな”

それがそのまま画面に写っている。

SNSも一気に動く。

《自然体なのに色気すごい》
《盛ってないのに綺麗》
《後ろ姿やばい》
《上下別で買ったのにセットに見える》
《なんか…欲しくなる》

営業が言う。

「広告費抑えてこの反応、異例です」

広報。

「“社長がモデル”って話題性以上に、世界観が刺さってます」

パタンナー、涙ぐむ。

「ライン、完璧に出てます」

希、深く息を吐く。

震えはない。

ただ、静かな達成感。

広哉、スマホを掲げる。

「見ろ。完売」

凌、冷静な顔で。

「追加生産決定だな」

圭祐、ニヤニヤ。

「ヒップ戦略、正解」

旬は静かに画面を見ている。

希が振り向いている写真。

光の中で、

やわらかく、強い。

広哉、肘で旬をつつく。

「自慢の彼女」

旬、短く。

「だな」

圭祐。

「俺ら影の功労者だよな?」

凌「0.3秒の検証も無駄じゃなかった」

広哉「くい込み具合最高って誰だ」

圭祐「だから俺じゃないって!」

爆笑。

でもその奥に誇らしさ。

旬、グラスを置く。

「一番すごいのは希だ」

全員、静かに頷く。

「自分で決めて、自分で立った」

それが何より強い。

一方その頃。

希は一人、部屋で撮影データを見返している。

確信はあった。

でも、ここまでとは思っていなかった。

背面のライン。

ワイヤーレスの柔らかさ。

上下別でも成立する完成度。

全部が噛み合った。

スマホが鳴る。

旬から。

《すごいな》

希、少しだけ微笑む。

返信。

《みんなのおかげ》

すぐ返ってくる。

《違う》

一拍。

《希がやったから当たった》

希、目を閉じる。

あの夜。

「やるなら中途半端にやらない」

そう決めた。

その覚悟が、写真に出た。

“着ててなんかいいな”

それは

自分が自分を信じた瞬間の顔。

窓の外の夜景が静かに光る。

Minoは、次のステージへ。