「引っ越し決めたよ」
旬、動き止まる。
「やっと業者さんに予約した。遅くなってごめんね」
少し笑う希。
「家具とかさ、お気に入りだからどう処分していいか考えてて…なかなかできなくて。ごめんね」
旬、胸がきゅっとなる。
あの部屋。
希のセンスで作られた空間。
柔らかい照明。
白と木目のバランス。
たくさんの観葉植物。
あれは“希そのもの”だった。
自分はただそこにいただけ。
旬、低く。
「俺…気づいてなかった」
「なにが?」
「希があの部屋どれだけ好きだったか」
沈黙。
旬、自分を責める。
(俺は一緒に住むことしか見てなかった。希が何を手放すか考えてなかった)
旬、少し強めに。
「全部持ってきたら?」
希、首振る。
「ううん」
やわらかいけど、はっきり。
「ここはまた旬と2人で作るの」
希、少しだけ寂しそうに笑う。
「あの部屋は、1人の私が作ったものだから。1人で泣いたり。1人で頑張ったり。
1人で幸せ感じたりした部屋」
一拍。
「ちゃんと、あそこに置いてく」
旬は言葉が出ない。
希はそのまま続ける。
「思い出は持ってくけど。家具は置いてく」
旬、ゆっくり近づく。
「俺さ」
「うん?」
「一緒に住むって、足し算だと思ってた」
希は黙って聞いている。
旬、少し笑う。
「でも違うな」
「なにが?」
「希の人生に、俺が入れてもらうんだなって今わかった」
希の目が揺れる。
旬、小さく。
「ありがとな」
希、少し照れる。
「なにが」
旬、希を抱き寄せる。
「俺と2人で作る部屋、楽しみにしてる」
希、胸に顔うずめる。
「うん。私も。」
旬、動き止まる。
「やっと業者さんに予約した。遅くなってごめんね」
少し笑う希。
「家具とかさ、お気に入りだからどう処分していいか考えてて…なかなかできなくて。ごめんね」
旬、胸がきゅっとなる。
あの部屋。
希のセンスで作られた空間。
柔らかい照明。
白と木目のバランス。
たくさんの観葉植物。
あれは“希そのもの”だった。
自分はただそこにいただけ。
旬、低く。
「俺…気づいてなかった」
「なにが?」
「希があの部屋どれだけ好きだったか」
沈黙。
旬、自分を責める。
(俺は一緒に住むことしか見てなかった。希が何を手放すか考えてなかった)
旬、少し強めに。
「全部持ってきたら?」
希、首振る。
「ううん」
やわらかいけど、はっきり。
「ここはまた旬と2人で作るの」
希、少しだけ寂しそうに笑う。
「あの部屋は、1人の私が作ったものだから。1人で泣いたり。1人で頑張ったり。
1人で幸せ感じたりした部屋」
一拍。
「ちゃんと、あそこに置いてく」
旬は言葉が出ない。
希はそのまま続ける。
「思い出は持ってくけど。家具は置いてく」
旬、ゆっくり近づく。
「俺さ」
「うん?」
「一緒に住むって、足し算だと思ってた」
希は黙って聞いている。
旬、少し笑う。
「でも違うな」
「なにが?」
「希の人生に、俺が入れてもらうんだなって今わかった」
希の目が揺れる。
旬、小さく。
「ありがとな」
希、少し照れる。
「なにが」
旬、希を抱き寄せる。
「俺と2人で作る部屋、楽しみにしてる」
希、胸に顔うずめる。
「うん。私も。」
