どうか、成仏してください!

 戻ると、春野が行儀よくお茶をすすっていた。

 (…優雅だ…)

 「随分、盛り上がったみたいだね」

 「い、意気投合しちゃって…」

 「全然気にしないで、笹原くんのお母さんがお茶菓子をだしてくれたから」

 二人の分も用意してくれたよ、と笑顔で迎える春野。

 (…いい人だ…)

 結衣の母親に挨拶したり、お茶を楽しみながら親睦を深めていると、解散の時間になった。

 (最初は嫌々だったけど、普通に楽しかったな…)

 余韻に浸っていると、結衣が話しかけてきた。

 「華、良かったら送るよ」

 「いいよ、そんな遅い時間じゃないし。わざわざ悪いよ」

 「じゃあ、途中まで一緒だし、僕が送るね」

 「あー…じゃあお願いしようかな」

 確認したいことがあった華は、春野の提案を受けた。

 「華…」

 「えっと…また明日、結衣くん」

 「うん…!」

 しょんぼりした笹原を名前で呼ぶと、すっかり上機嫌になった。

 (なんか、大型犬に懐かれたみたい)

 「あ、荷物待つよ」

 「え?あ、ありがとう…」

 遠慮する暇もなく、荷物を持っていく春野。

 (…スマートだ…)

 これが、イケメンの力か…!、と勝手に圧倒されていると、爆弾発言が投下された。

 「氏原さんって、幽霊って信じる?」

 その事について、それとなく確認しようと思っていた華は、先手を打たれて慌てる。

 「えっ!?いや、きゅ、きゅきゅ急に何を言ってるのかな?私は、幽霊なんて見えないけど!…あ」

 自分の失言に気づいてサァっと青ざめる。

 「見える?僕は、信じるか聞いているんだけど」

 (や、やっちまった…これじゃ、幽霊視えるんだって言ってる様なもんじゃん…)

 嘘をつくと、墓穴を掘ってしまう華は、この時ばかりはそんな己を呪った。

 「ねえ、だったら…僕の後ろにいるのも視えてるの?」

 「…うん。なんなら、成仏させようとしたんだけど…」

 「やっぱり、離れないんだね」

 「何で、視えてるのに祓おうとしないの?こんな事言うのもなんだけど、それはもう…」

 「うん」

 華は、これでも優れた霊能者だ。その華が何度も成仏させようとして失敗したのは…

 「…司…離さ…ない…誰にも…きずつけ…きずつけさせなぁぁ…」

 もはや、話すことすら危うくなっており、その外見はかろうじて人の形を保っている。

 「…怨霊になりかけてる」