どうか、成仏してください!

 面倒な幽霊は一定数いる。
 例えば、「カツ丼食べたい」などと言う幽霊。
 普通に考えて、幽霊としてこの世に残ってまでしたいことではない。その場合、もっとしっかりとした未練があることが多く、しかも自分から話さない。そのため、華はさりげなく本当の未練を探さなくてはならない。
 さて、なぜこんな話をしているのかというと…

 「お寿司食べるまで死ねないよ〜!」

 (もう、死んでるんだよ!)

 目の前にいるからである。
 出来るだけ"あの手段"は使いたくない華は、それとなく幽霊を観察する。

 「お寿司食べたい〜!」

 と言って、身をくねらせる幽霊。

 「……。」

 (そういえば、中庭の近くで毎回会うな。)

 中庭に何があるのか気になった華は、行ってみることにした。
 そこには、現在学校で飼っているニワトリがいた。
 その時、視界の隅で何かが動いた。目を向けるとうさぎが足元にいる。うさぎなんて飼ってたっけ…と思いながらも、つい撫でようとしてしまい自制する華。

 (うさぎって繊細って聞くしなぁ)

 結局、何も分からなかったので詳しい人に聞くことにした。

 「笹原くん、ちょっといい?」

 「いいけど、どうしたの?」

 「笹原くんって飼育委員だよね。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、中庭のニワトリっていつから飼ってたの?」

 「あー、確か2年前くらいからだったよ」

 あの幽霊が着ている制服は、8年前に制服が新しくなって以降、着られていないものだ。つまり、それ以前の生徒である可能性が高い。

 (ニワトリは関係ないのか…)

 「そっか、教えてくれてありがとう」

 「どういたしまして。でも、急にどうしたの?もしかして氏原さんもニワトリに興味ある?」

 「あー…まあ、うん」

 「氏原さん分かってるね!ニワトリって奥が深いよね…!特にあの鮮やかで立派な鶏冠なんて見てるだけで幸せっていうか…!!」

 「えっと…そ、そういえば私"も"って言ってたけど誰かに聞かれたの?」

 露骨に話題を変えても嫌な顔をしない笹原は、すごい人格者ではあるが…少しズレてる。

 「あ、そうなんだよね。なんか同じ様な質問されたんだ、春野くんに」

 「え…」

 朝、話題にあがった人物がでてきてドキッとする。

 「機会があれば3人で、ニワトリについて語りたいね」 
 「…うん、機会があればね」

 (春野くん…なんか怪しいな)

 なんだか嫌な予感がする華であった。