どうか、成仏してください!

 ホームルームが終わり、帰る準備をする生徒たち。その中には、一緒に帰ろうとする者たちもいた。
 もちろん、華も例外ではなく…

 「一緒に帰ろ、華」

 「あ、結衣くん。えっと…」

 「僕と帰ろう?」

 春野にも誘われ、朝と同じ様な状態になる。

 「えっと…その…」

 ーープルルル

 どう答えたらいいか分からずに、狼狽する華に電話がかかってきた。確認すると、相手は誠だった。
 この場を離れるチャンスだと言わんばかりに、素早く電話に出る華。

 「もしもし、華です」

 「華ちゃん!」

 誠らしくない、焦ったような声を聞いて驚く。

 「誠さん?どうしたんですか?」

 「ちょっと、色々あって…とりあえず今から、お寺に来てくれないかな?」

 「…わ、分かりました」

 「ありがとう!じゃあ、待ってるね」

 「あ、はい。また」

 通話を終えた華は、2人の誘いを断る口実を手に入れた。

 「2人とも、ごめん!ちょっと用事があって…」

 「じゃあ、しょうがないね。また誘うね」

 「そうだね、また明日」

 「う、うん…また明日」

 (誘ってくれなくても良いんだけど…周りの視線が痛いし…)

 鋭い目や好奇の目で見られ、急ぎ足で教室を出る。

 (それにしても、何があったんだろう…あんなに慌てる誠さん、珍しい)

 そんな時は大体、面倒事なのだが、あの場に居続けるよりもマシだと思ってお寺へ向かうことにした。
 後で、後悔することも知らずに。