どうか、成仏してください!

 翌朝、学校に来た華は困っていた。

 「華、昨日は休んでたけど大丈夫?」

 と、真っ先に話しかける結衣。

 「う、うん」

 「華、昨日のことなんだけど…」

 と、結衣がいる前で話す春野。

 「えっ」

 (その話、今じゃなくていいんじゃないかな!?)

 「…華、どういうこと?」

 春野の発言に、結衣が訝しむ。
 しかし、幽霊の事は言えないので焦る。

 「べ、別に?昨日、偶々会っただけだよ?」

 「ふーん…?」

 華の苦しい言い訳に、納得していない様子。

 (さっきから何!?どういう意図で聞いてるんだ…?)

 対処の仕方が分からず困っていた時、一筋の希望を見つけた。

 「る、瑠夏!おはよう!」

 華らしからぬ、大きな声で振り返った瑠夏は、結衣と春野を見ると、途端に顔を歪ませる。
 「面倒くさい」という感情が、言葉で言うよりも伝わってくる様な顔である。

 「…はぁ…」

 こんな事に首を突っ込みたくはないが、この哀れな友人を放って置けず、救いの手を差し伸べる。

 「おはよう、華。こっちで話そ」

 「うんっ」

 嬉しそうに駆け寄ってくる華を見て、悔しげな様子の結衣と春野に少しの優越感を覚えた。

 「瑠夏?黙り込んでどうしたの?」

 不思議そうに顔を覗き込んできた華。

 「いや…まだ、私が1番がいいなと思って」

 「1番…?」

 「華は、分かんなくていいよ」

 (可愛くて純真なこの子の1番はまだ、私がいい)

 「それにしても…面白いことになったわね」

 「面白くないよ!女子の目が怖いし!問い詰められたらどうしよう…!!」

 「…そうね」

 (これで華に手を出してでもみなさい、その時は…)

 悪い顔をする瑠夏。

 「その時は、先生にチクるわ」

 「さ、流石、優等生…!説得力が違う…」

 「こういう時のために愛想を振りまくのよ」

 「なるほど…」

 「因みに、愛想を振りまく上で大事なのは…」

 いつも通り、語り始める瑠夏。
 また始まっちゃった…と遠い目をする華だが、日常が戻ったことに安心するのだった。