どうか、成仏してください!

 パチリと目が開かれる。

 「あ、れ…?僕は何を…」

 雰囲気や言葉遣いが変わった様子を見て、憑依が成功したのだと察した春野たち。

 「司…?」

 「っ…!」

 「えっ!ど、どうしたの?何で泣いてるの…?」

 「何でもないよ…っ」

 幽霊を前にして、涙が止まらない。

 「ずっとお礼を言いたかったんだ」

 「お礼?」

 「1番、不安だったときにっ、側にいてくれて…ありがとう…!」

 何度かつっかえながらも、感謝を伝える。

 「どういたしまして…でも、司のこと困らせちゃったみたいだね。ごめんね」

 「違う!僕が、一人になるのが嫌だったからっ…ちゃんとお別れ出来なかったから…!」

 「ううん、僕が選んだ事だからね…えっと、言い方が悪かったかな…」

 少し考える素振りをして、穏やかな笑顔を浮かべる。

 「僕こそ、司の側にいさせてくれて、ありがとう」

 (あ…そうか…)

 「どういたしまして」

 救われていたのは、自分だけではなかったのだと今更、理解した春野。

 「そろそろ、お別れだね」

 「うん」

 晴れやかな顔をした春野を見て、幽霊は寂しそうに、安心したように笑った。

 「バイバイ」

 そう言って、満足げに目を閉じる。
 次に目を開けたのは、華だった。

 「…上手くいったみたいだね」

 「そうだね…」

 泣いている姿を見られて、恥ずかしがる春野だったが、すっきりとした面持ちで頷いた。