どうか、成仏してください!

 誠の思惑も知らず、巫女装束に着替えた華は今一度気合いを入れてお祓いに臨む。

 「2人とも、準備は出来た?」

 「はい」

 「大丈夫です」

 自然体な誠とは対照的に、華と春野は緊張した面持ちだ。
 そんな2人を李緒が励ます。

 「春野、そんなに緊張しないでいい。お祓いは確実に出来るから…華も親父のお祓いは、良くしてもらっただろ?」

 「李緒くん、ありがとう…!」

 (李緒くんって昔から、人をよく見て気を遣ってくれるんだよね。正直、結構嬉しい)

 「李緒もいい事言うね…たまにだけど」

 「親父、一言余計なんだよ」

 「さてと…そろそろ始めるね」

 李緒からの苦言を聞く気はないのか、スルーした誠は、(さかき)を手に取り、春野の心身を清める。

 「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え…」

 誠が祝詞を唱えると、たちまち幽霊が春野から離れていく。

 (誠さんのお祓い、久しぶりに見た…やっぱりすごいな、私だともっと時間がかかりそう)

 「…食せと恐み恐みも白す。華ちゃん、今…!」

 「はいっ!」

 計画通り、ことが進みホッとしていた華。しかし…

 「!?」

 幽霊は華に見向きもせず、祓われそうになっている。

 (そんな…普通は、憑依できる体が近くにあれば、すぐに引き寄せられるのに…!)

 あのままでは、完全に消滅してしまう。

 (どうすれば…!)

 ーーー「華、幽霊は臆病なの。だから憑依させる時は、優しく受け入れるのよ」

 「あ…お母さん…」

 (そうだった…この幽霊は不安なんだ。私が受け入れないと…)

 「大丈夫だよ、こっちにおいで」

 幽霊を安心させるように笑みを浮かべ、誘導する。

 「うん…」

 ぼんやりとした様子だったが、華の方に向かっていく幽霊。
 幽霊と華の距離がなくなった瞬間、華は意識を失った。