どうか、成仏してください!

 誠と思い出話で盛り上がっていると、春野と誠の息子である李緒が来た。

 「おはよう、氏原さん。今日はよろしくね」

 「春野くん、おはよう…李緒くんは案内してたの?」

 意外な組み合わせに驚く華。

 「うん。この寺、無駄に広いし、迷ってたみたいだったから…その、華…」

 「なに?」

 「えっと…そいつとは、どういう関係…」

 「このまま初々しい息子も見てたいけど、その前に…そちらの子が例の?」

 「…。」

 話を遮られた李緒は、不服そうだが、結局聞きたかったことだったので黙った。

 「あ、はい。お祓いをお願いする、クラスメイトの春野くんです」

 「今日はよろしくお願いします。春野司といいます」

 「こちらこそよろしくね、ここの住職の香坂誠(こうさかまこと)です。いやぁ、しっかりしてるねぇ…うちの息子も見習って欲しいよ」

 愛想の良い笑顔を浮かべ、爽やかに自己紹介をする春野に感心する誠。
 さらっと悪口を言われた李緒は、何だ、クラスメイトか…とホッとしていて気付いていない。

 「安心して、春野くん!誠さんは、お祓いで右に出る者がいないって言われてるから!」

 「そうなんだ、すごい住職さんなんだね」

 「そんな褒めても何もでないよ?…それで、何を買って欲しいの?」

 「財布がでてるぞ、親父」

 すかさず、ツッコミをいれる李緒を華は密かに尊敬している。

 「冗談だって!…じゃあ、そろそろ準備を始めようか。華ちゃんは、着替えておいで」

 「はい!」

 着替えるため、別室へ移動する華。

 「着替えるって何にですか?」

 疑問に思った春野が質問する。

 「巫女装束だよ」

 「やっぱり、服装も大事なんですね」

 「いや全く?」

 「「…え?」」

 李緒ですら知らなかったのか、春野と驚いている。

 「実は、華ちゃんに小さい頃に僕の仕事を手伝いたいって言われてね、試しに着せてみたんだけど…それがもう、すっごいかわいくて!それからは、適当な理由をつけて着てもらってるんだ」

 「「……。」」

 李緒も春野と同様に引いていたが、分からなくはないことに複雑な気持ちになったのだった。