「氏原さんには、分かるんだね」
「え、春野くんも視えるんじゃ…」
「残念ながら、僕には声しか聞こえないんだ」
「声だけ?…怖っ!」
普段から視えることが当たり前である華にとって、音だけ聞こえる状態なんて、考えるだけで恐ろしい。
「最初はそうでもなかったんだけどね」
「全部、説明してくれる?」
「もちろん」
そうして、春野は、怨霊がうまれるまでの経緯を語った。
「まず、3年前になるんだけど長い期間入院してて、寝たきりの状態が続いてたんだ。そこで僕は、幽体離脱みたいな感じでずっと彷徨ってたんだよね」
「なるほど」
幽体離脱自体は結構ある。華の様に生まれつき霊能力があることの方が多いが、この様な経験をして後天的に霊能力が備わることも稀にだが、なくはない。恐らく、春野は後者だろう。
「帰り道が分からなくなっちゃって、途方に暮れてたらこの幽霊に会って戻ることができたんだ」
「…それで?」
「起きたばかりの時、心細かった僕の側にいてくれて、励ましてくれて。すっごく嬉しかった…でも、それから段々と様子が可笑しくなっていって…」
「祓うことも出来ずにこうなった…」
「うん…」
(でも、ここまで悪化してしまったら…)
「正直なところ、私は霊能力は高いけど住職さんみたいにお祓いに詳しい訳じゃない」
「…うん」
「だから…」
悲しいけどお寺に行くしかない、そう言おうとした。しかし、見てしまったのだ。
いつも、穏やかな瞳が揺れているのを。笑みを浮かべている口が歪められているのを。
「あ…」
不思議だった。
何故、初対面の春野に怨霊らしきものが背にいたのを見ただけで、胸がこんなに騒つくのか。
(そうだ…春野くんは、あの時の私そっくりなんだ)
自分では何も出来なかったあの時に。
「…まだ、出来る事はある」
「え、春野くんも視えるんじゃ…」
「残念ながら、僕には声しか聞こえないんだ」
「声だけ?…怖っ!」
普段から視えることが当たり前である華にとって、音だけ聞こえる状態なんて、考えるだけで恐ろしい。
「最初はそうでもなかったんだけどね」
「全部、説明してくれる?」
「もちろん」
そうして、春野は、怨霊がうまれるまでの経緯を語った。
「まず、3年前になるんだけど長い期間入院してて、寝たきりの状態が続いてたんだ。そこで僕は、幽体離脱みたいな感じでずっと彷徨ってたんだよね」
「なるほど」
幽体離脱自体は結構ある。華の様に生まれつき霊能力があることの方が多いが、この様な経験をして後天的に霊能力が備わることも稀にだが、なくはない。恐らく、春野は後者だろう。
「帰り道が分からなくなっちゃって、途方に暮れてたらこの幽霊に会って戻ることができたんだ」
「…それで?」
「起きたばかりの時、心細かった僕の側にいてくれて、励ましてくれて。すっごく嬉しかった…でも、それから段々と様子が可笑しくなっていって…」
「祓うことも出来ずにこうなった…」
「うん…」
(でも、ここまで悪化してしまったら…)
「正直なところ、私は霊能力は高いけど住職さんみたいにお祓いに詳しい訳じゃない」
「…うん」
「だから…」
悲しいけどお寺に行くしかない、そう言おうとした。しかし、見てしまったのだ。
いつも、穏やかな瞳が揺れているのを。笑みを浮かべている口が歪められているのを。
「あ…」
不思議だった。
何故、初対面の春野に怨霊らしきものが背にいたのを見ただけで、胸がこんなに騒つくのか。
(そうだ…春野くんは、あの時の私そっくりなんだ)
自分では何も出来なかったあの時に。
「…まだ、出来る事はある」
