どうか、成仏してください!

 「生きてるうちに、ステーキ食べておけば良かったな」

 「回らないお寿司食べたかったぁ」

 「昨日話した事なんだけど…」

 「推しを生で見たかったー!」

 (……。)

 「結婚したかったな…」

 「それでね…って華、聞いてる?」

 (……。)

 「華?はーなー!」

 「え、あっうん。私もステーキお寿司を食べながら、推しの結婚するとこ生で見たいと思ってた」

 「いや、全然そんな話してない」

 「あれ?」

 「まったく、華ってばぼんやりしてるんだから。授業中は気をつけてよ?」

 「うん…」

 (またやっちゃった…)

 氏原華(うじはらはな)(16)は霊感がある、所謂"視える"人間である。
 もちろん、17年間これで生きてきたのだから驚きや恐怖はない。しかし、華には解消できない悩みがあった。
それは…

 「推しに会いたいよ〜!」

 「ステーキ寿司食べたくなっちゃった」

 「恋人欲しかった!」

 (うるさすぎる…!!)

 幽霊がとてつもなくうるさいことである。
 そもそも、幽霊なんて未練の塊なのだし、人目がないとなれば、自己主張するなという方が難しい。

 (かくなる上は…成仏させて、少しでも幽霊の声を減らすんだ!)

 この案を思いついたのは、小学3年生の頃。
 こうして、華と幽霊の成仏対決が始まったのであった。