Side狼牙
昼寝をしていた。
でも、嫌な夢を見た。
あいつの夢だ。
あいつは綺麗なピンクの髪色が特徴だった。
〝月の姫〟
それがあいつのコードネーム的なやつだ。
あいつは首に綺麗な三日月のネックレスをしてたから、月の姫だった。
いや、他にも理由はあった。
本名は一度だけ教えてもらったことがあった。
もう、ぼやけて分からないけど。
毎回、俺の夢に出てくるあいつは悲しそうな顔をしてた。
一度だけ教えてくれたことがあった。
「私はお母さんを殺して生まれてきちゃったから、だから、お母さんに謝らなきゃいけないの。お父さんにも、みんなにも。
でも、みんなは私と居てくれて嬉しい!ありがとう、みんな」
嬉しそうに笑うあいつ。
その時、俺は〝こいつを幸せにしてあげたい。〟
そう思ったのを覚えてる。
その時はまだ、人間のことは好きだった。
あの時までは。
ある日、いつも通り、待ち合わせの公園に雷飛と秘嘉瑠と霧嗚と魁斗、そして紅葉(くれは)と一緒に向かっていた。
でも、その日の公園にはあいつの姿はなかった。
その代わり、ネックレスだけは落ちてた。
意味が分からなかった。
なんで、あいつのネックレスだけが落ちているのか。
俺達は死ぬ気であいつを探した。
そしたら、足跡だけあった。
その足跡に最後の希望をかけて、辿ってみた。
いや、辿ったことに後悔はしていない。
その足跡の先は使われていない中学の倉庫だった。
中に入るとあいつが女と小柄の男に囲まれていた。
髪の毛を掴まれて痛そうにしているあいつ。
その時、俺達は小学生だった。
囲まれていた理由は分からなかった。
あいつに理由を聞くまでは。
俺達はあいつを囲んでる奴らを殴って、蹴って。
失神させた。
あいつは俺達が来たことにホッとしたのか、大粒の涙を流してた。
その姿も綺麗だと思ったのは俺だけじゃないはずだ。
あいつが落ち着いたところで俺はなぜ、こんなところにいてこの状況になったのか聞いた。
「公園でまってたら、男の人たちが来て、一緒に遊びに行こう?って誘ってきたの。だから、嫌ですって断ったの。
そしたら、綺麗な顔だからって調子に乗るなよって、怒られて…、やめてくださいって暴れたらその人の顔を引っ掻いちゃったの。
それでもっと怒っちゃったみたいで…、連れて行かれたんだ…。
その後、女の人たちも来たんだ。
助けてって言ったんだけど、笑ってて助けてもらえなかった。」
そう言ってまた泣きじゃくりだしたあいつ。
俺はそこから人間が嫌いになった。
あいつはこの事件の後、引っ越してしまった。
それから5年が経った。
俺は中学に入学したが獣人で、それに加えて親が会社の社長だと知った奴らがどうにか俺に取り入ろうとしてきた。
特に女はもっと酷かった。
待ち伏せや、手紙やら菓子やらを下駄箱に入れる奴らもいた。
そのたびに女が嫌になる。
そして、人間が嫌になる。
たまに、〝あいつがいれば〟そう思うことなんか数え切れないくらいあった。
そんな夢を見て、向こうの喧騒で起きたのだからとてもじゃないが機嫌が悪い。
それに加えて、人間の女がいるんだ。
普通の人間の女ならもっと平然を保てたかもしれない。
でも、いた女があいつと同じピンクの髪だから、気が狂いそうだった。
自分でも我慢したほうだと思う。
あの女がいなくなってから生徒会室はしんとしていた。
魁斗もほかの奴らもあんなのに心を絆されるなんてどうか
している。
それか、ピンクの髪だったらだれでもいいのか?
すると、ずっと黙っていた魁斗が口を開いた。
「ねぇ、〝月の姫〟覚えてる?僕、海空ちゃんが微笑んだ顔があの子にそっくりだと思ったんだ。」
そして俺に向き直り
「ねえ、ローくん。海空ちゃんを一度生徒会に入れないんだ。それで、海空ちゃんがあの子だったら…、そんな奇跡ないかもしれないけど、僕たち助かるから…」
だから?だからなんだ。あいつは、いない。
「あいつは居ないんだよ。引っ越した。もう会えないだろうしな。女を入れるのは反対だ。」
そう言って俺は鞄を持ち、生徒会室を出た。
下駄箱までの道のりを歩く。
やっぱり女共は気色悪い。俺の方をチラチラ見て。
あぁ、あいつならきっと真正面から言いに来ただろうにな。
またあいつのことを考えている自分に吐き気がした。
俺は早足に学園を出て、迎えに車に乗り込んだ。
Side狼牙 fin
昼寝をしていた。
でも、嫌な夢を見た。
あいつの夢だ。
あいつは綺麗なピンクの髪色が特徴だった。
〝月の姫〟
それがあいつのコードネーム的なやつだ。
あいつは首に綺麗な三日月のネックレスをしてたから、月の姫だった。
いや、他にも理由はあった。
本名は一度だけ教えてもらったことがあった。
もう、ぼやけて分からないけど。
毎回、俺の夢に出てくるあいつは悲しそうな顔をしてた。
一度だけ教えてくれたことがあった。
「私はお母さんを殺して生まれてきちゃったから、だから、お母さんに謝らなきゃいけないの。お父さんにも、みんなにも。
でも、みんなは私と居てくれて嬉しい!ありがとう、みんな」
嬉しそうに笑うあいつ。
その時、俺は〝こいつを幸せにしてあげたい。〟
そう思ったのを覚えてる。
その時はまだ、人間のことは好きだった。
あの時までは。
ある日、いつも通り、待ち合わせの公園に雷飛と秘嘉瑠と霧嗚と魁斗、そして紅葉(くれは)と一緒に向かっていた。
でも、その日の公園にはあいつの姿はなかった。
その代わり、ネックレスだけは落ちてた。
意味が分からなかった。
なんで、あいつのネックレスだけが落ちているのか。
俺達は死ぬ気であいつを探した。
そしたら、足跡だけあった。
その足跡に最後の希望をかけて、辿ってみた。
いや、辿ったことに後悔はしていない。
その足跡の先は使われていない中学の倉庫だった。
中に入るとあいつが女と小柄の男に囲まれていた。
髪の毛を掴まれて痛そうにしているあいつ。
その時、俺達は小学生だった。
囲まれていた理由は分からなかった。
あいつに理由を聞くまでは。
俺達はあいつを囲んでる奴らを殴って、蹴って。
失神させた。
あいつは俺達が来たことにホッとしたのか、大粒の涙を流してた。
その姿も綺麗だと思ったのは俺だけじゃないはずだ。
あいつが落ち着いたところで俺はなぜ、こんなところにいてこの状況になったのか聞いた。
「公園でまってたら、男の人たちが来て、一緒に遊びに行こう?って誘ってきたの。だから、嫌ですって断ったの。
そしたら、綺麗な顔だからって調子に乗るなよって、怒られて…、やめてくださいって暴れたらその人の顔を引っ掻いちゃったの。
それでもっと怒っちゃったみたいで…、連れて行かれたんだ…。
その後、女の人たちも来たんだ。
助けてって言ったんだけど、笑ってて助けてもらえなかった。」
そう言ってまた泣きじゃくりだしたあいつ。
俺はそこから人間が嫌いになった。
あいつはこの事件の後、引っ越してしまった。
それから5年が経った。
俺は中学に入学したが獣人で、それに加えて親が会社の社長だと知った奴らがどうにか俺に取り入ろうとしてきた。
特に女はもっと酷かった。
待ち伏せや、手紙やら菓子やらを下駄箱に入れる奴らもいた。
そのたびに女が嫌になる。
そして、人間が嫌になる。
たまに、〝あいつがいれば〟そう思うことなんか数え切れないくらいあった。
そんな夢を見て、向こうの喧騒で起きたのだからとてもじゃないが機嫌が悪い。
それに加えて、人間の女がいるんだ。
普通の人間の女ならもっと平然を保てたかもしれない。
でも、いた女があいつと同じピンクの髪だから、気が狂いそうだった。
自分でも我慢したほうだと思う。
あの女がいなくなってから生徒会室はしんとしていた。
魁斗もほかの奴らもあんなのに心を絆されるなんてどうか
している。
それか、ピンクの髪だったらだれでもいいのか?
すると、ずっと黙っていた魁斗が口を開いた。
「ねぇ、〝月の姫〟覚えてる?僕、海空ちゃんが微笑んだ顔があの子にそっくりだと思ったんだ。」
そして俺に向き直り
「ねえ、ローくん。海空ちゃんを一度生徒会に入れないんだ。それで、海空ちゃんがあの子だったら…、そんな奇跡ないかもしれないけど、僕たち助かるから…」
だから?だからなんだ。あいつは、いない。
「あいつは居ないんだよ。引っ越した。もう会えないだろうしな。女を入れるのは反対だ。」
そう言って俺は鞄を持ち、生徒会室を出た。
下駄箱までの道のりを歩く。
やっぱり女共は気色悪い。俺の方をチラチラ見て。
あぁ、あいつならきっと真正面から言いに来ただろうにな。
またあいつのことを考えている自分に吐き気がした。
俺は早足に学園を出て、迎えに車に乗り込んだ。
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