「音〜、速いよ。ちょっと待って。」
小学校からの帰り道、僕鈴宮瀬名は幼なじみの西園寺音にこう言った。彼女は昔から足が速く、頭も良かった。一緒に宿題をするとすぐ終わり、分からないところも教えてくれるのだ。
「なんでよ〜、瀬名なら追いつけるでしょ?」
「結局いつも追いついてくれるじゃん。」
「まあね、でも僕は一緒に歩きたいんだよ。こうやって帰れるのも残り少しなんだし。」
彼女は中学受験をした。他県の全寮制の中学校だ。僕が行くのは地元の公立中。
「そう?仕方ないなあ。」
そうやって屈託なく笑う音はクラスの人気者で、友達も多い。頭脳明晰、運動神経抜群、性格良し。どうして音がモテないことがあろうか、そんなわけがない。こないだのバレンタインデーもクラスメイト、友達、他学年いろんな人からもらっていた。僕よりも多かった。別に競ってるわけじゃないんだけどね。そんなこんなで素晴らしい才能を持ち、努力ができる音に惚れないわけがない。しかしながら彼女は残念なことに鈍感さも持ち合わせている。僕には勇気がない。幼なじみという最高のポジションなのに何も行動に移せていない。
「じゃあ、また会おうね瀬名。」
「次会えるのを楽しみにしてる。」
そんな短い会話が僕たちの最後だった。結局僕は何も言えなかった。音は僕に手紙をくれた。でも手は震え、涙でぐしゃぐしゃの僕には手紙の封を開けられなかった。満開の桜は僕に微笑んでくれなかった。
友達は作るのが得意なタイプだから困らなかったけど、なぜか僕の世界は色褪せていて、音のいない中学校生活はとても無機質なものだった。
小学校からの帰り道、僕鈴宮瀬名は幼なじみの西園寺音にこう言った。彼女は昔から足が速く、頭も良かった。一緒に宿題をするとすぐ終わり、分からないところも教えてくれるのだ。
「なんでよ〜、瀬名なら追いつけるでしょ?」
「結局いつも追いついてくれるじゃん。」
「まあね、でも僕は一緒に歩きたいんだよ。こうやって帰れるのも残り少しなんだし。」
彼女は中学受験をした。他県の全寮制の中学校だ。僕が行くのは地元の公立中。
「そう?仕方ないなあ。」
そうやって屈託なく笑う音はクラスの人気者で、友達も多い。頭脳明晰、運動神経抜群、性格良し。どうして音がモテないことがあろうか、そんなわけがない。こないだのバレンタインデーもクラスメイト、友達、他学年いろんな人からもらっていた。僕よりも多かった。別に競ってるわけじゃないんだけどね。そんなこんなで素晴らしい才能を持ち、努力ができる音に惚れないわけがない。しかしながら彼女は残念なことに鈍感さも持ち合わせている。僕には勇気がない。幼なじみという最高のポジションなのに何も行動に移せていない。
「じゃあ、また会おうね瀬名。」
「次会えるのを楽しみにしてる。」
そんな短い会話が僕たちの最後だった。結局僕は何も言えなかった。音は僕に手紙をくれた。でも手は震え、涙でぐしゃぐしゃの僕には手紙の封を開けられなかった。満開の桜は僕に微笑んでくれなかった。
友達は作るのが得意なタイプだから困らなかったけど、なぜか僕の世界は色褪せていて、音のいない中学校生活はとても無機質なものだった。
