花束に囲まれた君が残したもの。

校長にも許可を取っていたので、
僕らはお昼過ぎまで学校を散策した。

みんなでヒラを応援した体育館。
シーちゃんがよくいた美術室。
挨拶を交わした下駄箱。

どこも懐かしかった。

校内を散策したあと、僕らはツユのお墓参りをした。

準備してきた花束を掲げる。
花束の種類は必然的に決まっていた。

ハギ、紫苑、マルベリー、向日葵にユリ、柊の花、そしてツバキ。

色とりどりの花束を彼女の前に添えた。

 
彼女が最期に残した。
 
"まるで花束に囲まれているみたい"
 
この言葉の意味はきっとこういうことだったのだろう。

 
「さぁ、ハギのところに行くか!」
僕はみんなに声をかける。

ハギが今来ていないのは、今日彼のライブがあるからだ。
ハギは高校生の時にデビューして、今やドームでライブを行うような大きなミュージシャンになった。
彼が歌う曲の中には、僕らが昔聞いた曲もあった。

僕らのあの日々はハギが音楽として残してくれたのだ。

彼がツユを想い歌うことで、救われる人がいる。
元気になる人がいる。
勇気を持てる人がいる。
 
「ツユ…君は相変わらずだね。」

「ツッキー早くー行くよー!」
ヒマが遠くから元気に僕を呼ぶ。

「わかったわかった!」
僕は呆れながらヒマを見たあと

「大人になっても変わらないや。」
僕らはこの場を後にした。