花束に囲まれた君が残したもの。

クリスマスが過ぎ、正月を迎える。
寒い風が吹き続ける。

1月1日金曜日、朝早くヒラと僕は待ち合わせをして神社へ向かって賽銭を投げていた。
 
「みんなも誘ったんだけどねぇ。」

ヒラが手に息を吹きかけながらボソッと呟く。

「あれだろ。家族とかの時間もあるし。なかなか難しいだろ。」

僕は自販機でおしるこを2缶買ってひとつをヒラに渡す。
 
「あけおめ。」

「あけおめ。正月らしいねぇ。」
そう言ってヒラは嬉しそうにプルタブを開けて1口飲んだ。

「あっつ!」
「だろうね。」

相変わらず面白いやつだな。
僕は苦笑いして、おしるこを1口慎重に飲む。
僕らは人混みの中おみくじの列に並ぶ。

「なんか久しぶりだな。二人きりって。」

ヒラはネックウォーマーに顔を埋めながら呟いた。

「なんだよ、その言い方。」
僕は眉間に皺を寄せて言った。
 
「だってぇ、ツッキー女の子にモテモテなんだもん?ヒマちゃんとかツユちゃんとか〜僕も構ってよ〜」
ヒラはオネェっぽく僕に言う。

僕は鳥肌が止まらない…
ただでさえ寒いというのに。

「お前に言われたくないわ。」
僕は強く言った。

学校でキャーキャー言われてるヒラに言われても何も響かなかった。

「ヒマちゃんとかツユちゃんとか。その辺は否定しないんだ。」
ヒラはニヤッと笑って僕を見る。

「アホか…」

ヒマはともかくツユちゃんとの進展は今のところ何も無い。
もしかしたら何もできない。が正解だろうか…

「じゃあツユちゃんに俺が告っちゃおうかな〜」
ヒラが上を向きながら白い息を吐きながら呟いた。
 
「え!あ、は…?」
 僕はよく分からない声を出してしまった。
 
「だって、あんなに魅力的な子いないだろ。ツユちゃんモテるからな〜。色んな人が告白してるらしいけど、全部断ってるって噂。ゆっくりしてたら誰かに取られちまう。」
ヒラは笑いながら言った。

「いつから…なんだよ!え?」
僕は焦った。

イケメンかつ性格の良いヒラとだけは好きな人は被りたくなかった。勝ち目がない。
 
「…嘘。」
「は??」

「俺が好きな人は他にいる。」
ヒラは笑いながら言った。

「なんだよ!焦らせやがって…」
僕はほっとしてもう一口おしるこを口にする。

「でもモテるのは本当だし、断ってるのも本当。」
ヒラはそう言ってまた熱そうにおしるこを飲む。

「あ、順番来たね。」

いつの間にか、おみくじの列の1番前にいた。
僕らは200円ずつ払うとガラガラとおみくじを回して、おみくじを貰う。
 
「じゃあ行くぞ。せーのっ。」
「中吉!」「小吉!」
お互いに見せ合う。
 
「何だこのなんとも言えない感じ…」
僕はボソッと呟く。

「言うな言うな。バチ当たるぞ。」
ヒラは笑いながら呟いた。
 
「学力 全力を尽くせ
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病気 治る、安心せよ
学力 全力を尽くせ
願望 苦難を乗り越えれば少しづつ叶う

ふむふむ。なるほどね…やっぱりね。素直がいいとさ。ツッキー。そろそろ正直になれよ。」

「勝手に人のおみくじ読むなよ!」

僕はおみくじを後ろに隠した。
ヒラは笑っている。

「まぁ後悔だけはしないようしないとな。」 

ヒラはそういうと自分のおみくじを結び始める。
僕もヒラの隣に結ぶ。
結び終わると僕らは帰路へ向かった。

「今年も楽しもうな。」

ヒラは空を見ながら呟いた。

「あ、なぁ、ヒラ、お前の好きな人って誰なんだ?」
僕は気になって聞いてみた。

ヒラは少し考えた後、
「ツッキーには一生分からんだろな。」
そう言って少し眉をひそめて笑っていた。