べらと、ゆかいでちょっぴりざんねんな仲間たち

 晩さん会には、王妃が3人のプリンセスにささえられて、参加しました。そして、席について、ゴーちゃんをひざの上にのせました。王妃がドレスを着たのも、みんなとテーブルについたのも、何ヵ月ぶりです。国王も、プリンスたちも、みんなハッピーです。

 王妃はゴーちゃんをやさしくなでながら、それはそれはうれしそうです。その姿を見て、国王も、プリンスやプリンセスもにこにこしていますが、ゴーちゃんがいなくなってから、王妃がどんなにつらくて悲しい日々を送っていたのかを思い、心では泣いていました。

 国王は、世界の子どもはみんなゴーちゃんなのだと思いました。
 子どもがゴーストワールドに行かなくていいように、病院をたて、もっと医者を育て、医学の研究をすすめ、それから、世界中から戦争をなくさなくてはならないと強く思いました。
「プリンス・ゴードン・子ども病院を建てよう。そのプロジェクトはデミアンにまかせよう」
 国王がデミアンをさがすのですが、彼の姿が見当たりません。さっきまでは、いたはずなのに。

「ぼくの名まえがのこるの?」
 ゴーちゃんがうれしそうです。
「そうだよ」
「私はかならず元気になりますから、ぜひ、そのプロジェクトに参加させてください。それだけではなくて、その病院で、子どもたちのために働きたいと思います」
 と王妃が言いました。

 ディナーの後で、お礼に、コーラスを披露しました。コンテストの予選では一次で落ちてしまいましたが、曲は、その時歌った「ウィーアーザワールド」です。マイケル・ジャクソンのパートをゴーちゃんが、ボブ・ディランのところをモッヒが歌いました。
 動画もよかったけれど、ナマはちがう。すごいすごいと国王も王妃も、みんな感動しました。
 毎日、練習をしたかいがありました。

 途中で、デミアンがそっと戻ってきて、べらに小声で言いました。
「母鳥がきています。母鳥が子どもようすを見にきたみたいです」
 べらもすぐに見にいきたいのですが、そういうわけにはいきません。
「国王がさがしておられましたよ」
「いないのが、ばれましたか」
「はい」

 晩さん会のさいごに、国王が言いました。
「みなさん、ずうっとここにお住みになってはいかがですか。少なくとも、ゴードンがあちらに帰るまで、ここにいてくれませんか」
「いいんですか」
 トットとクマハチはここが気にいっているので、ここに残りたいと言いました。

「モッヒくんはどうですか」
「ぼくは、アフリカにかえりたいです。王妃とゴーちゃんのことを見ていたら、母さんことを思いだしてしまったんだ。母さんに会いたいぜー」
 と言って、泣き出しました。
「それでは、アフリカまで、プライベートジェットで送ってあげましょう」

「べらさんはどうしますか」
「わたしにはサンフランシスコに家も仕事もありのすから、帰らなければなりません」
「マリンくんはどうしますか」
「ぼくは、べらちゃんといっしょにかえりまちゅ」

 晩さん会が終わった時、べらとデミアンはフラッシュライトをもって、急いで鳥のところに行きました。母鳥は石の上ではなく、近くの土の上にいます。
「子鳥はどこですか」
「母鳥の下。ほら、ちょっとだけ黒い羽根が見えています」
 とデミアンが指さしました。母親が小鳥の上にかぶさっているのです。
「母鳥は、子供をあたためて、生き返らせようとしているのかしら」
 ふたりはどうしたらよいものか、考えました。部屋に連れて帰る?医者にみせる?でも、たぶん、子鳥はもうだめなので、今は奇跡がおきることを願うしかないと思いました。ふたりは近くに立って、こころから祈りました。

「ぼくは国王から、プリンス・ゴードン・子ども病院の建築プロジェクトのリーダーに任命されました」
「はい。子ども病院のことは、すばらしい考えです」
「そのことについてですが、べらさん、手伝っていただけませんか」
「わたしがですか。わたしには、そういうむずかしいことは、できません。ふたりのお兄さんプリンスが助けてくださるでしょう」
「一番上の兄は考古学者に、二番目の兄はサッカー選手になりたいのです。だから、こういう仕事はぼくに回ってくるのです」
 デミアンは三男坊なので、気楽かと思っていたら、そうではないようです。
「カリフォルニアから応援していますから、がんばってください」

 べらは部屋にもどって、ゴーちゃんが10月に帰る時、ノベンバーに届けてもらおうと思って、手紙を書きました。

「大好きなノベンバーへ、
ゴーちゃんにこの手紙をもっていってもらいます。
会えなくなって、3年になりますね。
わたしは元気よ。
あなたがのこしてくれた家で、ゆかいなフレンズと生きています。
ゴーちゃんが話してくれると思いますが、ちょっと想像できないゆかいな仲間たちです。
あなたはゴーストワールドの新会長だそうですね。そちらでもとても人気ものだって、ゴーちゃんが言っていました。
わたしがそばにいないと思って、ハメを外してはいませんか。
わたしが行くまではいいことにしますから、楽しくやってください。
わたしも早くそちらに行きたいのですが、まだやりたいことがあるので、ちょっと待っていてください。
やりたいことって、何か、わかるでしょう。
それは、小説を書くことです。書いてはいるのですが、まだひとつも、受かっていません。今、このゆかいで残念な仲間たちのことを書いてみようと思いつきました。
そう、今、ゴーちゃんのミラベーラ王国に来ています。
明日、サンフランシスコに帰りますから、この手紙をゴーちゃんにわたします。ゴーちゃんがプリンスだなんて、おどろきました。
生きていたら、世界はおどろくことでいっぱいですね。
ゴーストワールドでもそうですか。
いつか行ったら、いろんな経験をたくさん話してくださいね。わたしも、たくさん話します。
                                
                                  べら」