ハッピー・ファミリー・コンテストの一次予選の結果が届きました。予選は三次まであるのですが、あんなにがんばったのですから、一次は通りたいです。みんなが見ている中、べらが封筒をあけました。
あっさりと、落選していました。
作文のほうには、「これはファミリーではなくて、グループ活動です」、「ビデオ」のほうには、「ひとりだけうまい子がいるけれど、ファミリーらしさに欠けます」と書いてありました。
「さいしょで、落ちてしまった」
とクマハチが泣きそうです。
「あんなにれんしゅうしたのに」
とみんな、とてもがっかりしました。
「きっとソンタクがあったんだ」
トットがむずかしい言葉を使いました。
「ソンタク?」
「だれかを、ひいきしているんだ」
「きっとそうだぜ」
予選に落ちた悲しみが、怒りに変わりました。
「ほかの人がもっとがんばったかもしれないじゃないか」
と言ったのはゴーちゃんでした。
えっ。
「がんばったから、きぼうがすぐにかなうというものではないんだ」
とゴーちゃんが続けます。
みんながゴーちゃんを見つめます。
「きぼうはふうせんだよ。やぶれたら、あたらしいふうせんをふくらませればいいんだ」
ゴーちゃんは時々、大人びたことを言います。
モッヒはどこかで聞いたことばだと思いました。そう、ビーチで聞いたばかりです。
「ゴーちゃん、それはだれからきいたの?」
とべらがききました。
「わすれた」
「そうだ。そんなにかんたんにゆめがかなうわけがない。きぼうはふうせんだ」
みんな、そう思いました。
「これで、ぼくたちのきずなが深まったのですから、やったかいがありました」
「そうだ。やってやってよかった」
「りょこうには行けないし、ゴーちゃんのママは見つからなかったけど、すごくたのしかったぜ」
「あたらしいふうせんをふくらませまちょう。あのう、作った動画をCikCikにアップちゅるというのは、どうでちゅうか。せかい中の人みるから、ゴーちゃんのママもみるかもしれないでちゅ」
CikCikは短い動画をアップできるSNSです。
「それはすごくいいアイデアだ」
とみんながおどろきました。
「マリンは頭がいいね」
「そんなことないでちゅ」
「どうやってアップするんだい?」
「かんたんでちゅ」
マリンはゴーちゃんが中心になって歌っている動画を、あっという間に、CikCikにのせました。
ふつうは見てくれる人は100人とか 1000人とかいて、人気スターになると、1000万人以上のファンがいるとがいると聞いています。でも、最初の日、みんなの動画を見てくれたのは16人でした。
「これ、ふつう?多い?」
「おおいとはいえないでちゅ」
でも、1日たつと、その数が112に伸びたので、「100をこえた」とみんなで大喜びしました。でも、1週間たっても、200にはなりません。198で止まってしまいました。
198というのは、見にきてくれた人の数で、フォローしてくれたのは11人です。
「これ、ふつう?多い?」
「すくないでちゅ」
ある日本のSNSでは、登録者の数が2000万人になった人気チューバ―がいますが、どうしてあんなに人が来るのでしょうか。
「1回ではむりですよ。またあたらしいのを作って、アップしましょう。次は、フォロー20人をめざしましょう」
とクマハチがはげましました。
2月の終わりになると、サンフランシスコは春らしくなり、場所によっては、あじさいの花が咲き始めています。
あれからCikCikには3本の動画をのせ、フォローしてくれる人が31人にふえました。たったの31人ですが、それでも最初の3倍にふえていますから、順調です。
その朝、「たいへんでちゅ」とマリンがキッチンに走ってきました。
「CikCikをのぞいてみたら、見ている人の数が500を越えていまちゅ」
とはぁはぁしながら報告したので、みんなでスマホを見て「めっちゃすごい」と喜びました。
バズってはいていませんが、すごいです。
「フォローは」
「168人でちゅ」
「ヤッター」
たくさんのひとがおうえんしてくれていると思うと、元気がでました。また作ろうねと話し合いました。
3月のある日、冬眠から覚めたおばやがやってきました。
「おばや、おはようございます」
べらがうれしい声を出しました。うれしいことばかりです。
「ひめ、お元気でしたか」
「はい。おばやは、よく眠れましたか」
「おかげさまで。今年も、生きられそうです」
「おばや、いつまでも、生きてね」
「ノベンバーさんにたのまれているので、早くは死ねません」
「えっ、おばやはノベンバーにたのまれているの?」
「あらっ、ねぼけていて、口をすべらせてしまいましたかね。ところで、ニュースです」
おばやが急いで、話題を変えました。
おばやのところに、ヨーロッパのてんとう虫フレンズから連絡がきたのです。そのフレンズの話によると、どうも、ある国に、ゴーちゃんらしい子がいたということです。
「それが、ゴーちゃんは王子らしいですよ。その王子は去年の夏、ゴーストワールドへ行ってしまったようです」
「えっ。そう言えば、ゴーちゃんは、はじめはプリンスって言ってたけれど」
そのフレンズのリサーチによると、ゴーちゃんは、ミラベーラ王国の国王ハミルトンと王妃エリザベートから生まれたプリンスです。彼は末っ子で、お兄さんが3人とお姉さんが3人います。
ゴーちゃんは、ゴードン・ジョン・ヘンリー・トーマス・ハミルトンという長い名前のプリンスなのです。ちょっとやんちゃだけれど、かしこくて歌がうまいプリンス・ゴードンは、国王をはじめ、みんなからとても愛されていました。けれど、去年の8月、7才のバースディのパーティのあと、急に病気になったのでした。食中毒だということです。
「ゴードン王子がプリンス・ゴーちゃん」
「王妃のエリザベートは、かわいいプリンスが死んでしまったがショックで、まだ立ち直れていないそうですよ」
「それは、よくわかります」
べらが耳をますと、キッチンのほうからゴーちゃんのたのしそうな声が聞こえました。
あっさりと、落選していました。
作文のほうには、「これはファミリーではなくて、グループ活動です」、「ビデオ」のほうには、「ひとりだけうまい子がいるけれど、ファミリーらしさに欠けます」と書いてありました。
「さいしょで、落ちてしまった」
とクマハチが泣きそうです。
「あんなにれんしゅうしたのに」
とみんな、とてもがっかりしました。
「きっとソンタクがあったんだ」
トットがむずかしい言葉を使いました。
「ソンタク?」
「だれかを、ひいきしているんだ」
「きっとそうだぜ」
予選に落ちた悲しみが、怒りに変わりました。
「ほかの人がもっとがんばったかもしれないじゃないか」
と言ったのはゴーちゃんでした。
えっ。
「がんばったから、きぼうがすぐにかなうというものではないんだ」
とゴーちゃんが続けます。
みんながゴーちゃんを見つめます。
「きぼうはふうせんだよ。やぶれたら、あたらしいふうせんをふくらませればいいんだ」
ゴーちゃんは時々、大人びたことを言います。
モッヒはどこかで聞いたことばだと思いました。そう、ビーチで聞いたばかりです。
「ゴーちゃん、それはだれからきいたの?」
とべらがききました。
「わすれた」
「そうだ。そんなにかんたんにゆめがかなうわけがない。きぼうはふうせんだ」
みんな、そう思いました。
「これで、ぼくたちのきずなが深まったのですから、やったかいがありました」
「そうだ。やってやってよかった」
「りょこうには行けないし、ゴーちゃんのママは見つからなかったけど、すごくたのしかったぜ」
「あたらしいふうせんをふくらませまちょう。あのう、作った動画をCikCikにアップちゅるというのは、どうでちゅうか。せかい中の人みるから、ゴーちゃんのママもみるかもしれないでちゅ」
CikCikは短い動画をアップできるSNSです。
「それはすごくいいアイデアだ」
とみんながおどろきました。
「マリンは頭がいいね」
「そんなことないでちゅ」
「どうやってアップするんだい?」
「かんたんでちゅ」
マリンはゴーちゃんが中心になって歌っている動画を、あっという間に、CikCikにのせました。
ふつうは見てくれる人は100人とか 1000人とかいて、人気スターになると、1000万人以上のファンがいるとがいると聞いています。でも、最初の日、みんなの動画を見てくれたのは16人でした。
「これ、ふつう?多い?」
「おおいとはいえないでちゅ」
でも、1日たつと、その数が112に伸びたので、「100をこえた」とみんなで大喜びしました。でも、1週間たっても、200にはなりません。198で止まってしまいました。
198というのは、見にきてくれた人の数で、フォローしてくれたのは11人です。
「これ、ふつう?多い?」
「すくないでちゅ」
ある日本のSNSでは、登録者の数が2000万人になった人気チューバ―がいますが、どうしてあんなに人が来るのでしょうか。
「1回ではむりですよ。またあたらしいのを作って、アップしましょう。次は、フォロー20人をめざしましょう」
とクマハチがはげましました。
2月の終わりになると、サンフランシスコは春らしくなり、場所によっては、あじさいの花が咲き始めています。
あれからCikCikには3本の動画をのせ、フォローしてくれる人が31人にふえました。たったの31人ですが、それでも最初の3倍にふえていますから、順調です。
その朝、「たいへんでちゅ」とマリンがキッチンに走ってきました。
「CikCikをのぞいてみたら、見ている人の数が500を越えていまちゅ」
とはぁはぁしながら報告したので、みんなでスマホを見て「めっちゃすごい」と喜びました。
バズってはいていませんが、すごいです。
「フォローは」
「168人でちゅ」
「ヤッター」
たくさんのひとがおうえんしてくれていると思うと、元気がでました。また作ろうねと話し合いました。
3月のある日、冬眠から覚めたおばやがやってきました。
「おばや、おはようございます」
べらがうれしい声を出しました。うれしいことばかりです。
「ひめ、お元気でしたか」
「はい。おばやは、よく眠れましたか」
「おかげさまで。今年も、生きられそうです」
「おばや、いつまでも、生きてね」
「ノベンバーさんにたのまれているので、早くは死ねません」
「えっ、おばやはノベンバーにたのまれているの?」
「あらっ、ねぼけていて、口をすべらせてしまいましたかね。ところで、ニュースです」
おばやが急いで、話題を変えました。
おばやのところに、ヨーロッパのてんとう虫フレンズから連絡がきたのです。そのフレンズの話によると、どうも、ある国に、ゴーちゃんらしい子がいたということです。
「それが、ゴーちゃんは王子らしいですよ。その王子は去年の夏、ゴーストワールドへ行ってしまったようです」
「えっ。そう言えば、ゴーちゃんは、はじめはプリンスって言ってたけれど」
そのフレンズのリサーチによると、ゴーちゃんは、ミラベーラ王国の国王ハミルトンと王妃エリザベートから生まれたプリンスです。彼は末っ子で、お兄さんが3人とお姉さんが3人います。
ゴーちゃんは、ゴードン・ジョン・ヘンリー・トーマス・ハミルトンという長い名前のプリンスなのです。ちょっとやんちゃだけれど、かしこくて歌がうまいプリンス・ゴードンは、国王をはじめ、みんなからとても愛されていました。けれど、去年の8月、7才のバースディのパーティのあと、急に病気になったのでした。食中毒だということです。
「ゴードン王子がプリンス・ゴーちゃん」
「王妃のエリザベートは、かわいいプリンスが死んでしまったがショックで、まだ立ち直れていないそうですよ」
「それは、よくわかります」
べらが耳をますと、キッチンのほうからゴーちゃんのたのしそうな声が聞こえました。

