べらと、ゆかいでちょっぴりざんねんな仲間たち

「もしかして、ゴーちゃんは、ゴースト?」
 とべらがあせっています。
「ゴーちゃん、わたしに会いにきてくれたの?」
 ゴーちゃんがきょとんとしています。

「べらちゃんもゴースト?」
「ううん、ちがうけど」
 べらがゴーストのコスチュームをぬいで、ジーパンとセーター姿になりました。べらは人間です。

 今度はゴーちゃんが白い服をぬぎました。すると、何も見えなくなりました。 
 ええっ、ゴーちゃんの姿が見えません。
「消えた」
 とみんな大さわぎです。
「ゴーちゃん、どこ。見えないから、ふくをきてちょうだい」
 とべらが叫びました。
「やだよ」
 声だけは聞こえます。ゴーちゃんは笑いながら、へやをかけ回っています。
 みんながつかまえようとしますが、なかなかつかまりません。
「ゴーちゃん、ふくをきて、おねがい」
「わかったよ」
 ゴーちゃんのふくがゆらゆらと動いて、ようやく姿が見えました。本当に、ゴーちゃんはゴーストでした。

「ゴーストって、妖怪とはちがうのかい」
 とクマハチがききました。
「ゴーストはゆうれいで、ようかいはおばけだろ。いい年して、そんなことも知らないのか」
 ゴーちゃんの言い方は上から目線、態度も生意気なので、みんなが驚きました。とても子供とは思えません。

「ゴーちゃんは、何才なの?」
 とべらです。
「ぼく、こどもだよ。たぶん、7才くらい。だれかが、バースデイパーティをしくれた気がする」
「どこで、だれが」
「わからない」
「ゴーストワールドには何人くらい住んでいて、せいりょく争いとか、あるのか?」
 とモッヒです。
「そんなこと知るか」
「なんだ。知らないのかい」
 あはは、とモッヒが笑いました。
「じゃ、おまえは世界中に何頭のライオンがいて、どこではだれが強いとか、全部知っているのか。言ってみろ」
 こうげきされて、モッヒが目をぱちぱちさせました。
「わかったか。ライオンに生まれたからって、ライオンのことを何でも知っているわけじゃないだろ。ゴーストも同じだ」
 ゴ―ちゃんの答えにはむっとしながらも、なるほどとなっとくするモッヒでした。

「ことばには気をつけろ。こっちはせんぱいなんだからな」
 とトットが意見しました。
「じゃ、ここではだれが一番、年寄りなんだ?」
 とゴーちゃん。
 みんながべらを見ました。
「じゃ、みんなは、べらちゃんに、よいことばを使っているのか」
 モッヒとトットがモジモジしました。
「いいから、いいから。ここは自由の家なの」
 とべらが言いました。

「ゴ―ちゃんはアメリカのゴーストなの?」
 とクマハチです。
「そんなの、わからない」
「あのう、ゴーストワールドには、においとかあるのでちゅか」
 マリンはやはりにおいが気になるようです。
「そんなの、あるわけないよ」
「ゴーストワールドにはロックグルーブとかあって、スーパースターとかいるわけ?」
 とモッヒです。
「ロックグループはないけど、すごい人気者がひとりいる。イケメンだ」
「えっ、それってだれ?」
 とべらがききました。
「それは・・・・・・」
 みんなの目がゴ―ちゃんに集まります。
「それは、・・・・・・ぼく、プリンス・ゴ―ちゃんだ」
 ああ、なーんだ。
 ジョークだったとわかって、特に、べらはがっかりしたようすです。

「ゴーストワールドとヘブンのちがいはなんでちゅか。生きものは死んだらまずゴーストワールドに行って、そこからヘブンに行くのでちゅか」  
 そのことはべらも知りたいと思っていたので、耳をかたむけました。
「ぼくはまだこどもだよ。そんなことは知るわけないだろ」
「ゴーストワールドには、かみさまとかいるのでちゅか」
「ぼくはこどもだって言っているだろ。知らないよ」
「ゴーストって、みんなそれぞれちがう顔をしていて、そのかおを見れば、だれかってわかるの?」
 これは、べらの質問です。
「わかるよ。ぼくたちゴーストは、ゴーストのカンでわかるけど、でも、生きている人間にはわからないだろうな」
「そうなのね」
 べらはゴーストワールドに、とても興味があるようです。

「子どものゴーストが、どうして、ここにいるんだ」
 とトットがききました。
「ゴーストワールドにかえるトレーンにのりおくれたんだ」
「次のトレーンはいつでちゅか」
「らい年のハロウィーンだよ」
「そのトレーンにはだれでものれるのか」
 とモッヒです。
「おまえ、のりたいのか」
「うん。トレーンはすきなんだ」
「こうえんのトレーンじゃないんだぞ。ゴーストしかのれないに決まっているだろ。すこしは考えてから言いな」
「なんだと」
「やる気か」

「あらあら、けんかはやめましょう。じゃ、1年またなければならないのね。じゃ、それまで、うちで暮らすというのはどう?」
 とべらが言いました。
「いいけど。この家にはバトラーとかいるの?」
 バトラーというのは、あるじのお世話をする人です。
「いないわ。ここでは、みんな、じぶんのことはじぶんでするのよ。できる?」
「しかたないなぁ」
 というわけで、その夜から、ゴーストのゴーちゃんも、べらのうちに住むようになったのでした。