春の陽射しは、穏やかだ。 校門の前で揺れている桜は、たぶんざわざわと音を立てている。 私は、それを想像する。 ーーーもう、聞こえないから。 高校の入学式。 真新しい制服。 まだ硬いスカートの折り目。 白いブラウスの襟元が、少しだけ息苦しい。 みんなの口が動いている。 「久しぶりー!」 「クラスどこ?」 「写真撮ろ!」 きっとそんな言葉。 でも、私の世界は静かだ。 しん、としている。 静かすぎて、自分の鼓動だけが響いている気がする。